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米国、がんの脱毛予防へ頭皮冷却装置が適応拡大

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乳がん以外のがんも対象に

米国、がんの脱毛予防へ頭皮冷却装置が適応拡大

 抗がん剤治療や放射線治療による脱毛は、がんの治療と同じくらい患者を悩ませることがある。特に女性の場合、悩みは深刻だ。がんの治療をしても、髪の毛が抜けなかったら、心の負担はわずかでも軽くなるだろう。がんの治療による脱毛症を予防するための頭皮冷却装置(商品名DigniCap)について、乳がん以外のがんにも適応を拡大したと米国食品医薬品局(FDA)が発表した(7月3日付FDA News Release)。

乳がんでは約66%が脱毛が半分程度と自己判定

 DigniCap冷却システムは、がん治療において脱毛の可能性の高い化学療法を受けるがん患者に適用される。化学療法中にヘッドギアを装着し、コンピュータ制御によって頭皮を冷却する。頭皮の冷却が血管を収縮させて毛包(hair follicles)細胞への抗がん薬の到達を減らす、また,頭皮の冷却による毛包の細胞分裂を減らす作用も、毛髪への薬剤の影響を減弱させるメカニズムとして期待されている。

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 FDAは2015年に乳がん患者に対する同装置の使用を承認した。ステージⅠ,Ⅱの乳がんで脱毛の副作用が知られている化学療法薬を使用した女性患者122例を対象とした多施設共同試験で、被験者の66%以上が脱毛は半分程度にとどまったと判定したことが承認の根拠となった。

 その後、乳房以外のがんに対する同装置の有効性と安全性を示すデータが論文化されたことで、今回の適応拡大が承認された。

 ただし、小児やいくつかのがん、および特殊な化学療法患者には禁忌としている。また、冷温感受性または低温関連障害を起こしやすい患者には適さない。

 冷却システムの副作用としては、低温誘発頭痛、首や肩の不快感、寒気および長時間の冷却キャップ装着に関連する痛みが最も多い。頭皮冷却の長期的影響および頭皮転移リスクについては十分検討されていない。

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kenkohyakka

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