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生活保護って何?
自活難しい時の安全網
生活保護って何?
Q 失業したり、病気になったりしたら、どうやって生活すればいいのかな。
A 生活保護という仕組みがあるよ。憲法で、国民には「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)があると定められている。生活が困窮しても、この生存権が守られるように、国がお金を支給するんだ。
Q じゃあ、働かなくても暮らしていけるわね。
A 勘違いしないでね。受給できるのは、努力してもなお、生活が苦しい場合に限られているよ。健康で仕事が見つかるなら、まずは働かなくてはいけない。親族からの援助や年金などの社会保障制度を活用しても、自力での生活が困難だと、自治体が認定すれば受給できる。
Q そうなんだね。金額はどれくらいもらえるの?
A 使い道に応じて「生活」「住宅」など8種類の「扶助」があり、組み合わせて支給される。居住地や世帯の人数によって決まる「最低生活費」を、年金や勤労による収入が下回る場合に、差額が支給される。たとえば、東京23区のアパートで暮らす3人世帯(33歳、29歳、4歳)では、生活扶助と住宅扶助を合わせて月23万円程度になるよ。
Q 受給している人はどのくらいいるの?
A 今年2月時点で、およそ163万世帯、214万人いる。受給世帯数はこのところ年々増え、生活保護にかかる費用は約3・8兆円にのぼる。特に増えているのが、全体の半数以上を占める高齢者世帯だ。20年前の約3倍だ。
中には虚偽の申告をして不正に受給する人もおり、国は罰則を強化するなど対策を講じている。ただ、生活保護は、様々な支援制度からこぼれてしまった人を救う、最後のセーフティーネット(安全網)なんだ。受給の要件を厳しくして、本当に必要な人が受給できなくなるのも困ってしまう。
生活保護制度では、受給者を対象にした就労支援事業も行われている。ただ保護費を支給して終わりではなく、自立を後押しする視点を大切にしたいね。(小沼聖実)
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