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なぜか、右側の腸だけリスク上昇

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胆石が右側の結腸がん発症と関連

なぜか、右側の腸だけリスク上昇

 日本では大腸がんが急増し、部位別では最多となっている。大腸を左右に分けた場合、右側にある上行結腸や横行結腸のがんは、自覚症状が現れにくく、しこりが大きくなってから発見されることが多いと言われている。このたび、デンマークのコペンハーゲン大学ビスペヨルグ病院などの研究グループは、胆石が右側の結腸がんの発症リスクになりうるという研究結果を発表した。詳細は、6月発行の医学誌「Gastroenterology」に掲載されている。

6,000人弱を24年間追跡してリスクを検討

 胆石とは、胆のうや胆管などに石ができること。無症状の人がいる一方、痛みや発熱、 嘔吐(おうと) を伴うこともある。

 研究グループは、検診で発見された胆石症と消化器がんの発症との関連を検討するため、デンマーク国内の男女5,928人を対象とした研究を実施。胆石症の検出を目的として、対象者には1982~92年に腹部超音波検査を受けてもらった。その後、2014年まで追跡を続け、がんの発症について調査した。

 腹部超音波検査の結果、対象の10%に該当する591人が胆石症と診断された。中央値で24.7年間追跡したところ、胆石症であったグループは、非胆石症のグループに比べて、食道から大腸に至る全消化器がんの発症リスクが1.50倍、明らかな差を持って高かった。特に、右側の結腸がんの発症リスクは、胆石症のグループで2.04倍と明らかに高かった。

 その一方で、胆石症と膵がん、食道がん、胃がん、全結腸直腸がん、左側の結腸がん、S状結腸がん、直腸がんの個々の発症リスクについては、いずれも明らかな関連性は認められなかった。さらに、消化器以外のがんについても同様に、明らかなリスク上昇との関連は見られなかったという。

 研究グループは、「胆石症は右側の結腸がんの発症リスクを上昇させた。なぜリスクが上がるのか、そのメカニズムを解明するには、さらなる研究が必要だ」とコメントしている。

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