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夏の野山 虫刺され注意
ひどく腫れた場合は受診を
夏はキャンプやハイキングなどで子どもが野山に入ることも多い。マダニなどに刺されると、重症化するケースもある。まずは保護者が正しい知識や予防法を身に付けたい。
昨年8月、大阪府内で行われたキャンプに小学3年の女児が参加し、川遊びなどを楽しんだ。帰宅後、女児の左足指に体長3ミリほどのマダニがかみついているのを、母親が発見。驚いて病院に行き、局所麻酔をかけて皮膚ごとマダニを切除してもらった。
キャンプを主催した大阪府青少年活動財団事務局長の前垣益己さんは「適切な処置をされてよかった」と話す。無理に引っ張るとマダニがちぎれて皮膚内に口が残り、しこりになってチクチクした違和感が続くことがあるからだ。
「虫と皮膚炎」などの著書がある兵庫医科大准教授の
マダニは草むらに多く、ズボンの裾などから入り込んで肌にかみつき、血を吸う。痛みもかゆみもないが、赤く腫れることもある。まれにマダニを介して、重症熱性血小板減少症候群などの命に関わる感染症にかかることもある。かまれて1~2週間以内に発熱や下痢、発疹などがあれば、すぐ受診する。
ブユは体長約3ミリで、ブヨ、ブトとも呼ばれるハエの仲間。高原や渓流などに多く、人の血を吸うが、気付かないことが多い。刺されて半日後ぐらいから腫れや激しいかゆみに襲われる。市販のかゆみ止めを塗り、数日で治まることが多いが、ひどく腫れた場合は医師の診療を受ける。
スズメバチやアシナガバチに刺されると、15分以内に吐き気や呼吸困難などのアナフィラキシー反応が出ることもある。このような反応があったら、すぐに救急車を呼ぶ。
かゆいと子どもが患部をかきむしり、傷口から菌が入って皮膚がただれる「とびひ」になりやすい。患部を触った手で健康な肌を触ると次々と広がる。他人にもうつしやすい。とびひを防ぐには、患部に薬を塗ってガーゼで覆い、直接触れないようにする。
前垣さんは「自然の中では虫刺されは防ぎきれない。大人が正しく対処し、子どもたちに自然から多くのことを学んでもらいたい」と話す。
虫よけ剤を活用
虫刺されを防ぐには、長袖、長ズボン、帽子が望ましいが、熱中症も心配だ。袖口やズボンの裾から虫が入ることも多く、虫よけ剤を活用したい。
虫よけ剤の代表的な有効成分には「ディート」と「イカリジン」がある。
ディートは12歳未満には使用制限があり、6か月未満の乳児には使えない。イカリジン入りの虫よけ剤は昨年から国内で販売されている。夏秋さんは「イカリジンは子どもの使用制限がなく、肌の刺激も少ない。15%など高濃度タイプもあるが、子どもには5%程度で十分」と助言する。
虫よけ剤は汗で流れやすいので、3、4時間ごとに付け直す。服や帽子にかけても効果があるという。スプレータイプは吸い込まないよう顔周辺には直接吹きかけず、いったん手のひらにとって塗る。耳にも忘れずに付けよう。
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