偏食と好き嫌い
元気なう
[偏食と好き嫌い](1)子どもは空腹満たせば
「野菜を食べない」「偏食がひどい」。子育てでこんな悩みを持つ親は多いはず。「偏食」は広辞苑によると、「えりごのみして食べること。食物に好き嫌いのあること」。
管理栄養士で、フーズ&ヘルス研究所(東京都)主宰の幕内秀夫さん(64)は「偏食という言葉が安易に使われ過ぎている。子どもの好き嫌いはほとんど気にしなくてよい。順調に成長しているなら心配ありません」と言う。
野菜を食べないとビタミン不足になるのでは? 「数種類の嫌いな野菜を食べなくても、ほかの食品で栄養は取れます」と幕内さん。ピーマンやナスが嫌いでも、白米やイモ、トウモロコシも食べない子どもは少ないだろう。子どもは空腹を満たすものを食べることが大切だという。
特に緑黄色野菜を子どもが嫌うのは、苦み、酸味、えぐみなどが強いからだ。子どもの鋭敏な味覚では、おいしいと感じられないらしい。最近では、ニンジン嫌いの子どもは減っているが、ニンジンが品種改良で甘くなったためだ。
動物は自分の体に合わない食べ物は本能的に避ける。毒の多くには苦みがあり、腐った食品は酸っぱくなる。子どもはそれを察知し、体に必要がないから食べないのだ、と幕内さんは主張する。ただ、科学的には十分解明されていない。
「嫌いな物を強制していては、楽しい食事が台無しになる。嫌いなら、食べられるようになるまで待てばいい。多くの大人は、子どもの頃は見向きもしなかったお酒を喜んで飲んでいるでしょう」と幕内さんは笑う。
【関連記事】