宋美玄のママライフ実況中継
yomiDr.記事アーカイブ
「信じて、待つ」ことを教えてくれた子育ての本
7月に入りました。東京は暑い日が続いています。週末に公園で子どもたちを遊ばせていたのですが、走り回って、汗だくでドロドロになっているのに、2人とも全然疲れを見せません。こちらが先に参ってしまいます。これからが夏本番です。その時はどこで遊ばせようか、と悩みます。
先週、児童精神科医の佐々木 正美 先生が、81歳で亡くなられました。佐々木先生は子育てに関する本を多数執筆され、多くの親たちに読まれています。
私は、第1子を出産してすぐに、佐々木先生の「子どもへのまなざし」(福音館書店)シリーズを知人の女性に薦められました。今でも、折にふれては読み返しています。佐々木先生は、子育ては子ども目線であるべきという姿勢で、そのあり方を説きます。きれいごとや、親に対して押し付けがましいこと、不安をあおるようなことはいっさい言わないので、すっと心に入ってきます。
私は子育てで最も重要だと思えることを、佐々木先生の著書から学んだのでした。
まず、子育てで最初に大切なのは、基本的信頼感を育てることです。
自分を信じてもらえるから、相手を信じる。その信じられる相手を通じて自分を信じるようになる――ということです。小さい赤ちゃんが、唯一できるのは、泣くことだけです。だから、精いっぱいの努力で泣いている時は反応するようにする(メンタルと体力の可能な範囲内で、と自分で解釈していますが)。
自分の要求がかなえられた、という体験を繰り返すことで、子どもは「自分は価値のある存在だ」と思えるようになる。現在5歳になった娘の要求はなかなかハードでしたが、なるべくかなえてあげました。その間、ワガママ放題になるのではないか、と不安にならなくもありませんでした。でも、結局、分別は年齢とともについてきましたし、今のところ、自分は「大事な存在なのだ」と信じて疑わない様子なので、ほっとしています。
現在1歳7か月の息子は、遊んでいる途中に、こちらをチラチラと振り返ります。親が子を見守る姿を見せてやるのが大事だ、と「子どもへのまなざし」に書かれていたので、息子が振り返った時には、できる限り私も息子を見ているように、いつも遊ぶ姿を目で追っています。娘に手がかかるのでいつもとはいきませんが、振り返った時に私と目が合った息子の満面の笑みを見ると、信頼が築かれていることを実感できます。
佐々木先生から学んだ最も重要な姿勢は、子育ては「待つ」に尽きる、ということです。
子どもは月齢とともに、一人で食べたり着替えたり、トイレに行けるようになったり、親としては、できるようになってほしいことが次々に出てきます。でも、そのために子どもを従わせるよりも、できるようになるのを待つのが重要だ、と佐々木先生は説いていました。
できるようになるのを待つには忍耐が要ります。親がやったり、トレーニングで学ばせたりする方が実は楽だけど、できるだけ待ってやる。これは、生活の動作だけでなく、集団生活やお友達との関わりについても言えることで、「あるべきコミュニケーション」の姿を教え込むより、当人が気づき、直せるまで待ってやるのが大事だなあ、と思います。
シリーズには、他にも、奥の深いことがたくさん書かれていて、読み返すたびに「そうだなあ」と思います。子育てのスタートに、佐々木先生の本に出会えて本当に良かった。残念ながら、お会いしてお礼を言うことはできませんでしたが、佐々木先生のご冥福をお祈りします。
【関連記事】
忍耐力のある子は、信頼ある環境から。
筆ペン
今日読んだコラムに共通しているようなので、添付してみました。 なるほど!と思ってしまいます。 https://ww2.kqed.org/mind...
今日読んだコラムに共通しているようなので、添付してみました。
なるほど!と思ってしまいます。
https://ww2.kqed.org/mindshift/2017/07/04/want-to-teach-your-kids-self-control-learn-from-a-cameroonian-farmer/
つづきを読む
違反報告
佐々木正美先生
mim
佐々木先生のおかげで救われた子ども、親は数えきれないくらいいるでしょうね。 直接的にしろ間接的にしろ。 佐々木先生の著書を読むと、イライラしたり...
佐々木先生のおかげで救われた子ども、親は数えきれないくらいいるでしょうね。
直接的にしろ間接的にしろ。
佐々木先生の著書を読むと、イライラしたり焦ったり不安になっている自分の心が落ち着きます。
佐々木先生のような温かいまなざしを自分ももちたいです。
ご逝去、本当に残念です。
つづきを読む
違反報告