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働き過ぎをなくすには、どうすればいいの?
時間外の上限、制度化へ
働き過ぎをなくすには
どうすればいいの?
Q 時間外労働って何?
A 会社員など、雇われて働く人が、定められた労働時間を超えて働くことだよ。労働基準法では、休憩時間を除いて1週間に40時間以内、1日8時間以内と決まっている。ただ、あくまで原則で、働く人の側と経営者側が合意して労使協定を結べば、これを超えて働いてもいいことになっているんだ。
Q それじゃあ、働き過ぎになっちゃわない?
A うん。規制が緩いことは、長時間労働がなくならない背景の一つに指摘されていた。働き過ぎは心身への影響が大きく、脳や心臓の病気で亡くなる過労死や、心のバランスを失って自ら命を絶つ過労自殺が後を絶たない。そのため、新たに時間外労働の上限を設けることを決めたんだ。
Q 上限は何時間になるの?
A 1年間でいえば「720時間以内」だよ。12か月で割ったら月60時間。だけど、これとは別に「45時間を超える月は年の半分を超えない」というルールもあるから、45時間を超える月は最大で年に6か月までしか認められない。
それに、忙しい時期でも、1か月の上限は「休日労働を含めて100時間未満」とされる。また、連続した2~6か月の平均は「休日労働も含めて80時間以内」でなければならない。となると、100時間近い月があれば、前後の月は60時間ほどまでじゃないと平均で違反になってしまうよね。
国は法改正などをして、こうした決まりを制度化する考えだよ。
Q 上限を作るだけで働き過ぎは減るのかなあ。
A そもそも日本では、働いた時間を正確に把握していない職場が少なくないらしい。それでは、上限が守られているか、判断のしようがないよね。
厚生労働省は、出退社時にICカードを読み取り機にタッチした時間やパソコンの使用時間などの客観的な記録を基に労働時間を把握することを経営者に求めている。だれがどれだけ働いたかをちゃんと把握すること。それが第一歩なんだね。(中村剛)
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