文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

ニュース

ニュース・解説

膵臓がん、自覚症状乏しく治療困難…検査キットで早期発見へ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
膵臓がん、自覚症状乏しく治療困難…早期発見できる検査キット開発

 特に治療が難しいがんとして知られる 膵臓すいぞう がんを、検診で早期に発見できるかを調べる臨床研究を国立がん研究センター(東京)などが今夏から始める。

 検診には同センターなどが開発した血液検査キットを使う。

 膵臓がん患者の支援団体「パンキャンジャパン」の理事長を務める 真島まじま喜幸よしゆき さん(69)は2006年、49歳だった妹を膵臓がんで亡くした経験がある。見つかった時はすでに進行していたという。

極端に低い生存率

 膵臓は、胃の後ろにあり、通常の画像検査で早期発見が難しい。早い段階で症状がほとんどなく、腹痛や背中の痛みなどが表れた時には周りの組織に広がっているなどのケースが多い。全ての部位のがんを合わせた5年生存率が6割を超えたのに対し、膵臓がんは1割以下と極端に低い。

id=20170627-027-OYTEI50007,rev=3,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

 こうした実情を打破しようと、国立がん研究センター研究所の本田 一文かずふみ さんは、膵臓がん患者の血液の中で、「ApoA2アイソフォーム」と呼ばれるたんぱく質の濃度が低下していることを発見。少量の血液でこのたんぱく質の濃度を測定する検査キットを、大手繊維メーカーの東レ(東京)と共に開発した。

 キットは、慢性膵炎や良性腫瘍など、がんのリスクが高まる膵臓の病気も拾い上げることができる。膵臓がん患者で調べたところ、9割程度で実際にたんぱく質の濃度が低下していることを確認できたという。

 検診で健康な人の中から膵臓がんの疑いのある人を見つける臨床研究は、同センターや横浜市立大学、鹿児島大学などのチームが実施する。

「1センチ以下で見つかれば手術で完治も」

id=20170627-027-OYTEI50008,rev=2,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

 今夏以降、健康診断を受ける鹿児島県 出水いずみ 市などに住む50歳以上の男女から、任意で血液を採取。検査キットで血中に含まれる「ApoA2アイソフォーム」が一定量以下の人に精密検査を受けてもらう。

 鹿児島県は、日本対がん協会(東京)が腹部超音波検査による膵臓がん検診を古くから実施しており、検診体制や精密検査の体制が整っていることから、臨床研究の場に選ばれた。今回の研究に協力する人は精密検査も含め無料で受けられる。3年で5000~1万人に協力してもらうのが目標だ。チームは今秋以降、関西地方でも同様の方法で臨床研究を行う予定だ。

 パンキャンジャパンの真島さんは妹の死後、年に4回とこまめに検診を受けたことから、超早期に膵臓がんを見つけることができ、手術を受けて元気に過ごしている。「膵臓がんの家族がいたり、慢性膵炎になったりしたことがあるなど、リスクの高い人が低価格でキットを使えるようになってほしい」と期待する。

 膵臓がんに詳しい横浜市立大助教の加藤真吾さんは「がんが1センチ以下で見つかれば手術で完治も見込める。早期発見が重要」と話す。

 同センター研究所の本田さんは「血液検査はどこでも簡単に実施できる。いずれは検査キットを自治体などの検診に組み込み、効率のよい膵臓がん検診を実現したい」と話している。

 検査キットについて、チームは3年以内に国の承認を得たいとしている。膵臓がんの疑いがある患者の診療での使用も目指している。(加納昭彦)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ニュースの一覧を見る

最新記事