教えて!ヨミドック
医療・健康・介護のニュース・解説
年とるとなぜ物忘れ増える?
脳の記憶保管力が低下
Q あの人の名前はなんだっけ? ヒヒーン、年齢とともに思い出すのも、覚えるのも苦労するなあ。
ヨミドック 年をとると、多くの人が物忘れが増えたと感じるもので、やむを得ない面があります。
Q 脳に変化があるの?
ヨ 目や耳から入った情報は、脳の奥にある「海馬」と呼ばれる場所に短期記憶として置かれます。中でも、印象深かったり、大切と思ったりした情報は、脳の表面の「大脳皮質」に送られ、長期記憶として保管されます。それぞれ本を一時的に置く机と、長くしまう書庫のような役割です。どちらも高齢になると機能は落ちます。
Q 特に最新の歌や俳優が覚えられないよ。
ヨ 海馬が新しい情報を大脳皮質に送る力が弱り、長期記憶になりにくくなります。大脳皮質も何十年もためた情報で満杯状態。空きがなく、簡単に覚えられないのです。昔の記憶をたどろうとしても、満杯となった記憶の書庫のどこに保管されているか分からず、思い出せない、といったことが起きると考えられます。
Q 年はとりたくないな。
ヨ 覚える訓練を懸命に繰り返した大人で海馬が発達したとの報告があります。普段から頭を使うと記憶力が上がるかもしれません。
Q 認知症になっていないかも心配。簡単に見極める方法はあるの?
ヨ 海馬や大脳皮質の細胞が多く死滅し起きるのが認知症です。冷蔵庫に入れたままの食材を見つけた時、自分で入れたことを思い出せば問題ありませんが、「これは誰が入れたのか」と思う人は認知症の可能性があります。また朝食も、内容ではなく食べたこと自体を忘れていたら認知症が疑われます。治療で進行を遅らせることは可能なので、心当たりがある人は医療機関を受診してください。
Q 予防法はあるの?
ヨ 早歩きなど息が少し切れるくらいの運動が効果的といわれています。うつが認知症のリスクを高めるという研究成果があるので、前向きな気持ちで生活することも大切でしょう。
(米山粛彦/取材協力=柿木隆介・生理学研究所教授、山口晴保・認知症介護研究・研修東京センター長)
ヨミドックは読売新聞の医療介護サイト「ヨミドクター」のお医者さんキャラです。
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