COPD、治らないと言われた
4か月間、せきやたんが続いています。COPD(肺気腫)と言われ、吸入ステロイド薬を使っていますが、良くなりません。たばこは10年前にやめましたが、それまで45年ほど吸っていました。治らないと言われましたが、今後、どうしたらいいでしょうか。(75歳男性)
呼吸器内科で正確な診断を
永田 真 埼玉医科大学 呼吸器内科教授(埼玉県毛呂山町)
COPD(慢性 閉塞 性肺疾患)とは、以前は肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていたものの総称です。日本人のCOPDは、喫煙によることが多いので、まず完全に禁煙することが大切です。質問者がたばこをやめているのは、すばらしいことです。
喫煙習慣があった高齢の方で、せきやたんが続く場合、COPDの可能性は高いと考えられますが、診断には呼吸機能検査や他の疾患との鑑別が必要です。まずは呼吸器内科で正確に診てもらいましょう。
なぜなら、薬の使い方に違いがあるからです。質問者は吸入ステロイド薬を使っています。気管支ぜんそくの治療でよく使われますが、COPDの治療では、補助的な役割です。
COPDで最も重要な治療薬は、吸入タイプの長時間作用型気管支拡張薬です。気道を広げる「β2刺激薬」と、気道を狭める神経の作用を遮る「抗コリン薬」があって、この2種類を配合した薬も普及しています。
吸入タイプの薬は、患者さんが適切に使用でき、効果を最大限引き出せるよう、使い方について指導を受け、習熟することが重要です。
また、運動療法や栄養管理を含む、呼吸のリハビリもあります。専門スタッフに正しく指導してもらって適切にできると、患者さんの運動能力や生活の質の改善、入院リスクや不安感の減少などが期待できます。