いきいき快適生活
介護・シニア
足指の運動 転倒防止
タオル引き寄せ、じゃんけん…継続は力
立った姿勢でバランスを保つには、実は、地面をつかむようにして体を支える「足の指の力」が欠かせない。お年寄りになってこの力が弱まると、転倒しやすくなるという。普段から意識し、足の指の運動をしておくことが大切だ。
「イッチ、ニー、サン、シッ」。佐賀県鳥栖市の飯田町公民館では、近所のお年寄りが週1回集まり、健康作りにと、地元オリジナルの「とすっこ体操」を楽しんでいる。30分ほどの体操プログラムの最後に行われるのが、タオルを活用した足の指の運動だ。
椅子に座り、タオル1枚を足元に敷く。足の指で、タオルを少しずつ引き寄せていく。このとき、かかとは床につけたままで、足の指だけを使う。タオルを端まですべて引き寄せたら、また伸ばして繰り返す。この日は計10回行った。
参加した女性(75)は、「以前は硬くてあまり動かなかった足の指が、運動を続けているうちに開くようになりました」と笑顔を見せた。
「足の指は体を支える大切な役割を果たしています」と、京都橘大学健康科学部教授の村田伸さんは指摘する。お年寄りはわずかな段差でもつまずいたり、よろけたりしやすい。バランスを崩しかけた時に、足の指の力でしっかり体を支えることができれば、転倒を防げるのだという。
村田さんの研究では、足の指の力は年齢を重ねるごとに低下する。特に75歳を過ぎると低下の度合いが急激に増す。「腰が曲がると、かかとに体重がかかるようになり、あまり指を使わなくなる。65歳を過ぎたら、足の指の運動をしてほしい」という。
医療福祉専門学校「緑生館」(佐賀県)の理学療法士、竹井和人さんは、「足の指の運動は継続することが大切。5~10分でも構わないので毎日続けて」とアドバイスする。
タオルと椅子さえあればどこでもできる「引き寄せ運動」は、挑戦しやすい。ただ、指が硬くなっていたり、筋力が落ちていたりすると苦戦することもある。「タオルを動かすこと自体が目的ではない。意識して足の指を動かすことが大事なので、できる範囲で少しずつ続けてください」
このほか、簡単にできるのが、足の指じゃんけん。グーは指をすぼめるように、チョキは親指と人さし指をずらすように。パーは全ての指の間を開く。パートナーや友人などと、楽しみながらできる。
ビー玉を指でつかみ、床に置いた箱などに移動させるアイデアも。ビー玉の代わりに、様々な形の小石を使うと、少し難易度が上がる。
竹井さんは、「地味な運動なので飽きてしまうこともあるでしょう。仲間と競争したり、テレビを見ながら行ったり、続ける方法を工夫してみてください」と話している。
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