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創薬専用のAIを開発、費用・期間を半減へ

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創薬専用のAIを開発、費用・期間を半減へ

 京都大学や製薬・IT関連企業など約70社で作る共同研究体は7月から、創薬専用の人工知能(AI)の開発に乗り出す。国も予算を拠出する。

 1剤当たり1000億円超にも上る開発費を半減させるのが目標。世界中の製薬企業が新薬開発でしのぎを削る中、オールジャパン体制で日本の国際競争力を高め、医療費の削減も目指す。

 AIの活用は医師の診療支援などで始まっているが、創薬のためのAIは国内に例がないという。創薬AIは、〈1〉病気の原因となるたんぱく質の特定〈2〉たんぱく質に作用する新薬の候補物質の絞り込み〈3〉候補物質の安全性の予測と合成法の決定〈4〉効果を確認する臨床試験(治験)の計画作り――など一連の流れを担う。20種類のAIを3年後をめどに完成させ、製薬企業で創薬に活用する。

 候補物質の絞り込みなどは、製薬企業の研究員が国内外の医学関連の論文やデータベースを調べて行っている。だが、医学研究は日進月歩で論文数も膨大な数に上り作業に時間がかかることが問題だった。日本製薬工業協会によると、一つの薬の開発に約10年、費用は約1200億円かかっているという。創薬AIは、膨大な医学データを人間よりも素早く調べられる。京大などによると、開発期間は半分から3分の1に、費用は半減できる見込み。

 共同研究体には、京大のほか東京大、理化学研究所、武田薬品工業、富士通などが参加。文部科学省と厚生労働省は約5億円の研究費を拠出する。

医療費抑制に期待

 創薬AIは、増え続ける国民医療費の削減に貢献すると期待される。

 厚生労働省が昨年発表した2014年度の国民医療費は40兆8071億円で、8年連続で過去最高を更新した。薬剤費は00年ごろから、医療費の2割程度を占めている。近年は肺がんなどの治療薬「オプジーボ」をはじめとする高額薬が次々登場し、さらに薬剤費が増えると懸念されている。

 薬の値段は開発費などで決まる。一つの薬が発売されるまでに、約3万の候補物質が脱落し、薬剤費の押し上げ要因となっている。AIが有力な候補物質を絞り込めれば、大幅な効率化につながるだろう。(大阪科学医療部 山崎光祥)

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