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認知症の幻覚や記憶障害、VR(仮想現実)で体験…恐怖の映像に悲鳴も

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認知症の幻覚や記憶障害、VR(仮想現実)で体験…恐怖の映像に悲鳴も

ゴーグル型端末とヘッドホンを着け、認知症の疑似体験をする参加者たち(東京都内で)

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 認知症を理解する人を増やそうと、幻覚や記憶障害といった症状をVR(仮想現実)で体験できる映像が製作され、各地で体験会が開かれている。「社員研修に使いたい」として、認知症の人と接する機会のある企業や、学校からすでに計4000人以上が参加。

 開催を求める声も殺到している。製作した会社は今夏にも、認知症の基本的な知識を学んだ講師の養成を始め、全国に活動を広げる考えだ。

 調剤薬局チェーン「薬樹」の東京都内のオフィスで、社員ら約50人が専用のゴーグル型端末とヘッドホンを装着していた。認知症の理解を深める研修の一環で、端末のボタンを押すと、VRの映像と音声が流れ始めた。

 画面に柵のないビルの屋上の風景が広がる。顔を下に向けるとビルの下が見え、足がすくむ。「大丈夫、右足から行きますよ」と音声が聞こえ、振り向くと、男性が笑顔で語りかけていた。リアルな映像に参加者から悲鳴すら上がった次の瞬間、車から降りる様子に切り替わった。

 この映像は、認知症の高齢者が、介護施設の送迎車から降りるのを異様に怖がっていた際に、「屋上から落とされそうになった」と話したことを基に作られた。ほかにも、ケーキの上に虫がいるように見えたり、電車に乗っていて降りる駅が分からなくなったりと、認知症の人の話を参考にしたVR映像がある。

 首都圏でサービス付き高齢者向け住宅など約10か所を運営する「シルバーウッド」(本社・東京都港区)が、2016年1月頃から製作を始めた。今後も映像を増やす予定だ。

 認知症の人には 徘徊はいかい や暴言、幻覚などがある場合があり、周囲から理解されずにストレスがかかり、より悪化するケースも多い。下河原忠道社長(46)は、「風邪のつらさは経験があるからみんな共感できる。臨場感があるVRを体験することで、認知症の人に共感できるのでは」と話す。

 介護や小売りなど認知症の人に接する機会がある事業者からの問い合わせが多く、11月頃までほぼ毎日開催の予定が入っているという。問い合わせは、同社のホームページ(http://www.silverwood.co.jp/vr/)から。

          ◇

【VR(仮想現実)】  Virtual Reality(バーチャルリアリティー)の略。コンピューターで作り出された架空の世界や遠く離れた現実の場所が、目の前にあるように感じられる仕組み。専用のゴーグル型端末などを着け、上や下を見たり振り返ったりすると、それに応じて360度の映像が見られる。

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