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コウノドリ先生 いのちの話

からだコラム

[コウノドリ先生 いのちの話]「分娩集約」欧米方式の利点

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 日本のお産は、海外の先進国と随分、状況が違うということを皆さんはご存じでしょうか。欧米では、高度な産科医療を提供できる「周産期センター」に 分娩ぶんべん を集約し、年間数千~数万人の赤ちゃんがそこで生まれます。「オープンシステム」と呼ばれる欧米の方式について紹介したいと思います。

 米国の病院を見学した時のこと。正面玄関に止められたバンに、赤ちゃんを抱いた大勢のお母さんが乗り込んでいきました。スタッフに尋ねると、「お産を終えたママたちが退院するところだよ」と。

 その地域の妊婦さんは、妊娠中の健診は近くのクリニックで行い、陣痛が来たら周産期センターに向かいます。クリニックの担当医がセンターでお産を扱うこともあります。出産後、数日間はセンターで過ごし、産後ケアは地元で受けます。広大な米国において、妊婦さんはお産のため、はるばる大病院にやってくる。私が見たのはその光景でした。

 日本では、周産期センターになっている大病院でも年間のお産が1000件以下のところが大半。半数は小さなクリニックが担っています。母子ともに何事もなく進めばいいのですが、中には分娩中に命に危険が迫ることもあります。

 産科医が一人で外来、分娩、麻酔、手術までをこなすのは極めて困難だということは、想像に難くないでしょう。普段はクリニックで健診を受け、分娩は万が一の備えがあるセンターに集約する欧米とは、この点が大きく違うのです。

 医師の高齢化と人手不足で維持に苦慮するクリニックが増える昨今。「安心・安全なお産とは」と突き詰めていくと、真剣にオープンシステム導入を考える時代も近いのではないかと感じます。

 (りんくう総合医療センター産婦人科部長、荻田和秀)

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