排尿障害・骨盤臓器脱(女性)
子宮下垂、排尿に時間かかる
腟 のあたりにピンポン球のような異物感を感じ、人間ドックで子宮下垂と診断されました。リングを入れる処置があると言われましたが、どんなものかわからず治療に踏み切れていません。最近では、排尿に時間がかかり、残尿感が消えないのが気にかかります。(53歳・女性)
まずは体操や器具で矯正を
古山 将康 大阪市立大学医学部 女性生涯医学教授(大阪市)
腟が緩んで腟口から臓器が抜け出る病気「骨盤臓器脱」と考えられます。お産を経験して閉経を過ぎた女性に多く見られます。腟を支える組織が傷害されて起こるヘルニアです。
腟の前方が緩むと 膀胱 が、後方が緩むと直腸が、上部が緩むと子宮が腟を押すようにして下垂します。それぞれ膀胱 瘤 、直腸瘤、子宮脱と呼びます。
下垂のみで無症状であれば、経過観察で構いません。しかし、ご質問の方は排尿困難が見られるので、膀胱瘤として治療が必要です。
治療は手術療法と保存療法がありますが、まずは保存療法を始めてください。
軽症では骨盤底筋体操を行います。尿道、腟、肛門を締める筋肉を収縮させる練習です。上手に収縮させているかは医師に確かめてもらってください。
また、腟を持ち上げるゴム製のドーナツ状の器具「ペッサリー」を腟内に挿入する方法も一般的です。直径5センチから10センチまで数ミリ単位でサイズがあり、腟に合わせて医師が選びます。
腹圧を強くかけると取れてしまいますので、排便時には抜くか押さえるようにします。自己着脱ができるので、就寝時は抜いておくと腟の圧迫がとれて、腟のびらんや炎症を起こさず長期の使用が可能になります。
うまく矯正できない場合は、適切な手術法を医師と相談してください。