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堀江重郎教授のはつらつ男性専科

コラム

慢性腎臓病への治療薬が開発された!

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 動物が進化して、水の中から陸で生活するようになると、いつも水へのアクセスが良好とは限りません。このため飲んだ水をからだの中にとどめておくには、腎臓の働きが大事です。

水をたくさん飲むと尿がたくさん出るのは

 腎臓は背中の真ん中あたりに二つある臓器で、尿を産生する臓器です。腎臓の仕組みは極めて複雑で、血液を糸球体という場所でまずたんぱく質以外の物質を 濾過(ろか) して、そこでできた尿からさらにミネラル、電解質をもう一度尿細管という細胞で血液へと再吸収して、最終的に尿として体のそとへ 排泄(はいせつ) します。水をたくさん飲むと尿がたくさん出る、というのは当たり前のようですが、たくさん水を飲むと血液が薄まり、そこで尿を濃くするホルモンであるバソプレシンが少なくなって、結果的に尿が多くなるというプロセスを経ています。

 腎臓へ行く血管が動脈硬化で細くなったり、濾過をする「ふるい」の目が詰まったり、あるいは目が壊れて、大事なたんぱく質も尿へ出て行ってしまったりと、実に多くの理由で腎臓の機能は低下していきます。腎臓の機能が低下すると、からだの水分バランスが壊れて、むくみが出たり、血圧が高くなったり、夜中のおしっこが増えたりします。からだの老廃物を十分に排泄できなくなってしまうと「透析」あるいは「腎臓移植」といった、外からの力で腎臓の機能を代替する治療が必要となります。

血液の濾過力が正常時の60%になると慢性腎臓病

慢性腎臓病への治療薬が開発された!

人工透析室(写真はイメージ)

 腎臓の機能の基本は、血液を濾過する力ですが、正常の濾過力を100として60%以下になると、慢性腎臓病と呼んでいます。慢性腎臓病では将来、透析を必要とする可能性が高くなると同時に、脳梗塞や心筋梗塞など深刻な病気の危険性の起こる可能性が高くなります。

 慢性腎臓病の原因の大きなものには高血圧や腎臓の炎症、糖尿病などがありますが、これまでは腎臓の機能がいったんある程度まで下がると、進行性に悪化して、これを止める手段はありませんでした。足がむくんだりして、自覚症状として、体調が悪いと感じるときには腎臓の力は元に戻らなくなっているのです。

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堀江重郎(ほりえ しげお)
順天堂大学大学院教授。泌尿器科医。1985年、東京大学医学部卒業。日米で医師免許を取得し、国立がんセンター中央病院などを経て、2012年より現職。男性更年期障害などを対象とするメンズヘルス外来にいち早く取り組み、男性をはつらつとさせる医学を研究する。ロボット支援手術ダ・ヴィンチのトップランナーとしても知られる。

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