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エア遊具設けた屋内遊戯施設…指導役常駐で安全に
郊外のショッピングセンターなどで、空気を入れて膨らませた「エア遊具」などを設けた屋内型の遊戯施設が増えている。
天候に左右されず、子どもを思う存分遊ばせることができるのが魅力だが、思わぬ事故に巻き込まれることもある。安全に配慮しつつ、子育てに活用したい。
今月中旬、埼玉県越谷市のイオンレイクタウンにある遊戯施設「スキッズガーデン」では、平日にもかかわらず夕方には親子連れが次々と訪れ、エア遊具の滑り台などを楽しんでいた。スタッフが常駐しているが、2歳の長男を見守っていた市内の男性会社員(39)は、「それでも、周りの子どもとぶつかりはしないか、気になります」と話す。
体を動かして遊ぶことは、子どもの発育に大切だ。しかし、消費者庁によると、屋内遊戯施設では、2008年度からの7年間で、転倒や衝突などによる重傷事故が28件報告されている。全国の消費生活センターにも毎年、「子どもがエア遊具で転倒し、骨折した」といった相談が寄せられている。
事故が続く理由について、内閣府の消費者委員会は15年8月、屋内遊戯施設に明確な安全基準がなく、指導にあたる行政機関もないことが背景にある、と指摘。経済産業省は昨年6月、屋内遊戯施設の安全に関するガイドラインを策定した。運営業者に対し、日常点検や定期点検、事故発生時の対応などについてのマニュアルを定めるよう求めている。
安全対策を強化する施設も出ている。「スキッズガーデン」を運営するイオンファンタジーは、保育士や幼稚園教諭の資格を持つスタッフを配置する。「あそびパークPLUS」を運営するナムコも、砂場に抗菌加工した砂を用いたり、遊具の点検や洗浄を毎日行ったりしている。
ただ、国民生活センターは「すべての施設が適切に安全管理をしているとは限らない」と、注意を促す。同センターの担当者は「子どもが想定外の動きをしてしまうことにも気をつける必要がある」とし、〈1〉保護者らが必ず付き添う〈2〉服のひもなどが遊具に引っかからないよう服装や持ち物を確認する〈3〉ほかの子どもを突き飛ばすことなどがないよう日ごろから言い聞かせる――よう呼びかける。
子どもの遊び場にくわしい筑波大学教授の徳田克己さんは、「少子化などにより、子どもたちが新たな友達と出会い、道具の貸し借りや遊ぶ順番を待つといったルールを学べる場は少なくなっている。屋内遊戯施設はそうした役割を担える」と評価する。そのうえで、「注意すれば重大事故は防げる。上手に子どもを遊ばせている施設を選んでください」とアドバイスする。
子どもたちを指導してくれるスタッフが常駐していることに加え、飲食物の持ち込みを禁止したり、体調の悪い子どもの入場を制限したり、管理体制の整っている施設が望ましいという。遊び終わった後におもちゃを消毒するなど、衛生面に配慮しているかどうかも確認しておきたい。
■屋内遊戯施設で子どもを安全に遊ばせるポイント
・ なるべく指導役のスタッフが常駐している施設を選ぶ
・ スタッフ任せにせず、必ず保護者などが見守る
・ 遊具が整理整頓されているかどうかを確認する
・ 遊具の不具合や破損を見つけたら、すぐに利用をやめて施設の管理者に知らせる
(徳田さんなどの話を基に作成)
(5月26日 読売新聞朝刊掲載)
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