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紫外線対策、お肌だけで安心していません?

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子どもたちの目を紫外線から守る

紫外線対策、お肌だけで安心していません?

 そろそろ紫外線が気になる季節となった。ギラギラに晴れた日はもちろん、曇りの日でも日焼け止めを塗るなどの紫外線対策が必要なことは、今や多くの人が知るところだ。でも、紫外線対策するのはお肌だけで大丈夫? 先ごろ、金沢医科大学(石川県河北郡内灘町)眼科学講座の佐々木洋教授が、紫外線が目に及ぼす悪影響とその対策について講演し、目のケアの重要性について、大学生を対象とした調査の結果を交え解説した。

紫外線により、さまざまな目の病気が

 私たちが浴びる紫外線の量は、頭頂部では春から秋にかけての10~14時が突出している。ところが、目の部分の紫外線量は少し違っていて、佐々木教授による測定では、冬でも比較的多く、時間も朝から夕方までと長かった。

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 紫外線を浴び続けると、さまざまな目の病気が起こりうる。例えば、スキー場などで起きやすい雪眼炎(いわゆる雪目)のほか、結膜の充血や老眼、白内障、白目に黄色に盛り上った斑点ができる 瞼裂斑(けんれつはん) 、細い血管を伴った白い膜が白目から黒目に向かって伸びてくる 翼状片(よくじょうへん) などだ。

 紫外線関連の目の病気は、大人になってから発症することがほとんどだが、瞼裂斑は10歳未満の子どもでも発症するという。佐々木教授が、日本人の子ども1,047人と、紫外線が強いタンザニアの子ども227人を対象に、瞼裂斑の有無を調べたところ、日本では小学校高学年から増え始め、中学2年生以上で約4割だった。

 それに対し、紫外線を多く浴び、眼鏡などで目を保護することもなく過ごすタンザニアの子どもは、瞼裂斑のある子が小学校1年生でも8割を超え、小学校高学年以降はほぼ全員に瞼裂斑があった。

 佐々木教授は、「若い人で瞼裂斑があるということは、紫外線の被ばく量が多いということ。将来、早期に翼状片や老眼、白内障を発症する可能性がある」として、対策の必要性を強調した。

屋外スポーツをしている大学生は、瞼裂斑のリスクが3倍に

 続いて、佐々木教授は、屋外・屋内を問わず、運動部に所属している大学生223人(男性166人・女性57人、平均年齢19.7歳)を対象に実施した調査結果を紹介。視力や瞼裂斑を含む目の詳しい検査と、戸外活動時間などについての問診を行い、紫外線の被ばく量と目の病気との関連について検討した。

 その結果、瞼裂斑がある人の割合は、バレーボールやバスケットボールなど屋内スポーツをする人で57.1%、野球やサッカーなど屋外スポーツをする人で78.4%だった。中でも、強い瞼裂斑がある人の割合は、屋内17.9%に対して、屋外57.5%と、屋外スポーツをしている人で3.2倍高かった。

 ところが、屋外スポーツをする人のうち、UVカット付きのコンタクトレンズを6年以上使用している人は、裸眼の人に比べて、瞼裂斑の割合が明らかに低かった。また、瞼裂斑の面積も同じように、UVカット付きのコンタクトレンズの使用歴が長い人で明らかに小さかった。

 さらに、年齢や性別、戸外活動時間による影響を除いて解析したところ、UVカット付きのコンタクトレンズを6年以上使用している人は、裸眼の人に比べて、瞼裂斑の発症リスクが74%低減していたという。

 佐々木教授は、「屋外スポーツをしている大学生では、屋内スポーツの学生に比べて、瞼裂斑のリスクが3倍以上高くなる」と今回の調査結果を振り返った上で、「屋外スポーツをする子どもや学生は、眼鏡やUVカット付きのコンタクトレンズの使用が勧められる。こうした紫外線対策が、瞼裂斑の予防にも役立つ」と訴えた。

 紫外線対策として、日焼け止めクリームを塗ったり、帽子や日傘を用意したりすることに加え、将来の病気予防のためにも、目のケアについてしっかり考えたい。

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kenkohyakka

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