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介護・シニア
ポロ~ン♪ 癒やしのウクレレ
手軽さ人気 認知症予防にも
中高年が新しく習い始める楽器として近年、ウクレレの人気が高まっている。「ポロ~ン」と癒やされるような音色に加え、小型で手軽に弾けることが魅力のようだ。
平日の昼下がり。東京・浅草に近いビルの教室に、明るい歌声が響いた。
50代前後~80代半ばの男女11人が練習していたのは、コード(和音)演奏で伴奏しながら歌う「弾き語り」。曲はザ・タイガースの1968年のヒット曲「花の首飾り」だ。
教室は、東京都台東区にある老舗ウクレレメーカー「キワヤ商会」が運営している。この日開かれたのはシニア向けのコース。月2回、60~70年代前後の洋楽や邦楽ヒット曲やハワイアンを中心にレッスンしている。約3年前から習う同区の主婦河野テル子さん(74)は「曲に合わせて歌えるのが楽しい」と声を弾ませていた。
ウクレレはハワイ発祥の楽器で、90年代半ば以降、ハワイ旅行者の増加に合わせて人気が高まった。ハワイアンに限らず、ジャズ、クラシック、ポップスなど多様なジャンルの音楽が弾けるのがその魅力。同教室で講師を務める鈴木
ヤマハ音楽振興会(東京)が運営する「ヤマハ大人の音楽レッスン」でも近年、人気が高まっているという。全都道府県の約400会場にウクレレのコースがあるが、ここ5年で受講生は約3割増えた。受講生のうち60代以上が約45%を占め、全体の約7割は女性だ。「楽器が小ぶりでかわいらしく、持ち運びしやすいうえ、音色も優しい点が女性に好まれている。音が大きくなく、家で練習しやすい点もメリットのようです」と担当者は話す。
ウクレレには認知症予防の効果も期待されている。日本音楽療法学会理事の高橋多喜子さんは、「コードを演奏しながらメロディーを歌う弾き語りは、二つのことを同時に行う。脳のトレーニングになり、認知症予防につながります」と指摘する。
これからウクレレを始めようとする人に、講師の鈴木さんが勧めるのは、教室で仲間と一緒に習うことだ。「手軽に見えても楽器は楽器。教室で習えば、悪い癖を直せて、仲間と長く続けられます」と話す。
楽器の値段には幅があり、数千円のものだと、チューニング(音合わせ)ができないタイプもある。体の大きさに合ったサイズの楽器を選ぶためにも、長く取り組みたい人は店と相談を。例えば、長さ55センチ程度で一番小さな楽器は、「ソプラノ」と呼ばれ、女性向きだ。
鈴木さんは「弾くだけでその場が明るい雰囲気になり、みんなで歌える楽器です。孫の誕生日に『ハッピーバースデートゥーユー』を演奏することなどを目標に始めてみては」と話している。
ウクレレ ギターに似た4弦の小型の楽器。ソプラノ、コンサート、テナーなど様々なサイズがある。日本では俳優の加山雄三さんやコメディアンの高木ブーさん、サザンオールスターズのベーシスト関口和之さんらが奏者として知られる。
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