文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

室伏由佳のほっこりスポーツカフェへようこそ

コラム

眠り方を考える! 睡眠障害と付き合う(下)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
眠り方を考える! 睡眠障害と付き合う(下)

投擲(とうてき)に必要な瞬発力を高めるため、ウエートトレーニングもよく行いました。公式ではありませんが、練習時のベスト記録は、ベンチプレスは95キログラム、フルスクワットは145キログラム

 みなさん、ほっこりスポーツカフェへようこそ! 前回のカフェに引き続き、私自身の体験を通じて睡眠の問題について書きたいと思います。

疲労と睡眠不足の悪循環

 前回お話しした通り、睡眠がうまくとれない問題は、10歳代前半の頃から現在まで続いています。部活動で陸上競技を始めた中学1年生から実業団選手として活動した35歳まで、アスリートとして過ごした時代はずっと、睡眠障害に悩まされていたことになります。

 睡眠がうまくとれないため疲労が蓄積し、20歳代後半頃になると、体力的な面でとても つら いと感じるようになっていきました。いま思い返すと、当時は慢性的に疲労していたといえます。慢性的な疲労自体も、睡眠障害や免疫機能の低下に関わりがあることが分かっています。疲労があるから睡眠にも問題が出ているという、連鎖的な状態にあったのかもしれません。

 そんな時、たまたまアスリート仲間との会話の中で、「病院にかかって、睡眠導入剤の処方を受けて、睡眠を十分とれるようにしている」と聞いたことで、ようやく、「この悩みを一人で抱えていてはいけないな」と思えたのです。それまでは、「これは自分でうまく付き合うもの」と思い込んでいたのですが、医師へ相談することでベストな方法に 辿たど り着けるのではないか、という期待を持つようになりました。

薬で心地よく入眠

 ようやくその機会が訪れたのは、2006年の秋でした。この年は12月にドーハでアジア大会があり、代表選手が国立スポーツ科学センター(東京・西が丘)でメディカルチェックを受けました。その中に内科検診の項目もあったので、その時にスポーツ医に相談してみようと考えたのです。

 どのように睡眠に問題があるのか、どんな時に眠れないのかなど、医師に伝え、話し合いました。私は、寝付きが悪い入眠障害、早朝に目覚める早期覚醒、夜中に何度も目覚める中途覚醒の全てが当てはまりましたが、まずは入眠へのアプローチをすることになりました。睡眠に誘導する薬(睡眠導入剤)を試してみることになり、アンチ・ドーピング規則に従って処方してもらいました。

 大会に影響が出てしまうと困るので、試合があまりない時期を選び、早速試してみました。すると、とても心地よく入眠できたのです。睡眠導入剤は入眠を助けるもので、薬の作用時間が短いため、途中で起きてしまうことも時々ありましたが、それでもまとまった時間、睡眠がとれることで「眠りの質」が変わったと体感しました。以前のように、眠れずにベッドの中でぐるぐる寝返りを打って、羊の数を数えるなんてこともなくなりました(笑)。

1 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

murofushi_yuka_400

室伏由佳(むろふし・ゆか)

 1977年、静岡県生まれ・愛知県出身。株式会社attainment代表取締役。2004年アテネオリンピック女子ハンマー投げ日本代表。円盤投げ、ハンマー投げ2種目の日本記録保持者(2016年4月現在)。12年9月引退。

 アスリート時代には慢性的な腰痛症などスポーツ障害や婦人科疾患などの疾病と向き合う。06年中京大学体育学研究科博士課程後期満期退学(体育学修士)。スポーツ心理学の分野でスポーツ現場における実践的な介入をテーマに研究。現在、スポーツとアンチ・ドーピング教育についてテーマを広げ、研究活動を継続。現在、上武大学客員教授、朝日大学客員准教授や、聖マリアンナ医科大学スポーツ医学講座、徳島大学医学部、中央大学法学部など、複数の大学において非常勤講師を務める。スポーツと医学のつながり、モチベーション、健康等をテーマに講義や講演活動を行っている。日本陸上競技連盟普及育成部委員、日本アンチ・ドーピング機構アスリート委員、国際陸上競技連盟指導者資格レベルIコーチ資格、JPICA日本ピラティス指導者協会公認指導師。著書に『腰痛完治の最短プロセス~セルフチェックでわかる7つの原因と治し方~』(角川書店/西良浩一・室伏 由佳)。

公式ウェブサイトはこちら

室伏由佳のほっこりスポーツカフェへようこその一覧を見る

3件 のコメント

コメントを書く

不眠の背後にある精神的成長と技術的課題

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

もう一点大事なのは、多くの若い選手の不安や精神的重圧の理由が本人の周囲に対する意識の変化であることもあり得ることです。 自分にはあまり経験ありま...

もう一点大事なのは、多くの若い選手の不安や精神的重圧の理由が本人の周囲に対する意識の変化であることもあり得ることです。

自分にはあまり経験ありませんが、チームや学校、国家を背負う意識。
異常ではなく、子供から大人になる成長のプロセスに伴う変化のデメリット。

それは事実と言えば事実で、妄想と言えば妄想ともいえる、アイデンティティの問題。

多くの医師にとって、数百から数千分の一の出来事が、患者にとっては一分の一で、意識の不均衡があるのに似ています。

同じ行為が立場や立ち位置によって変わって見えるのは当たり前ですが、そういう前提条件が生む心の状態の違いで、まるっきり変わって見えるようになります。

だからこそ、ルーチンワークやジンクスなど、行為依存を持ったアスリートもいますね。

「未熟者にスランプはない」という名監督の言葉もありますが、不調や不眠が続くようであれば、自身の精神的成長が一つの原因ともいえます。

厄介なことに、メンタルトレーニングや薬物が有効な場合もあれば、肉体と戦術トレーニングや慣れが有効な場合もあることです。
(勝負のかかった選手であれば、勝てると感じれば、安心して眠れるでしょう。)

いま、あちこちに、スポーツ外来も増えてきていますが、そういう競技の技術や大会やリーグのプロセスに詳しい先生を探されるほうがいいと思います。
こだわりの強い先生は時として、患者の気分やプライドを損ねてきますが、採算度外視で教えてくれますからね。

今の気分に共感してくれる医師もありがたいかもしれませんが、職業として選んでいないだけでスポーツを好きな先生は多々いますからね。

つづきを読む

違反報告

成長や結果の壁をきっかけに学ぶ生き方

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

アスリートの不眠の原因には性格的なもの、精神的なものと肉体的なものがあります。 精神科の認知行動療法のスポーツへの応用もニュースになりましたが、...

アスリートの不眠の原因には性格的なもの、精神的なものと肉体的なものがあります。
精神科の認知行動療法のスポーツへの応用もニュースになりましたが、その解決の方法や付き合い方も様々です。

僕は不眠時は睡眠不足の違和感と付き合いながらの無理をしないプレーを選んでいました。

不眠の原因の不安はいけないものと考えられがちですが、不安か充実を感じなければ日々の努力の継続は不可能ですし、充実の日々だけを送ることは普通は無理です。

勉強もそうですが、不安や恐怖とセットになった努力だけでは頭打ちな傾向もありますが、一方で、一定水準までは有用ですし、そこでの成功体験や能力の蓄積から充実の歯車が回ることがあります。

要するに、短期と中長期のメリットの構造の違いの問題で、そのバランスの組み方や休養や薬剤との付き合い方が特にトップアスリートの上のレベルを目指す人にとって重要になります。

本当は非常に難解です。
善悪二元論ではない部分を織り込んで考えられるか、特に今後の若い指導者や教員には大事になると思います。
(普通の人はそんなに難しいところまで考えなくても問題はない)

程度問題や適性、個体差なども含めて、すそ野の広い育成年代やアマチュアのプレー環境を意識してより良い方向にシフトしてほしいとは思います

アマチュアスポーツには、少子化、人口減少の中で、教育やQOLを含む健康増進、スポーツ産業の振興など、色々な意味がありますし、そういう体験の中から生き方の技術を学ぶきっかけを得ることができます。

つづきを読む

違反報告

睡眠薬も使いました

gur

眠れない日が続いたとき、眠れることがなんて幸せなんだろうと感じたものです。この記事では副作用は無かったと書かれています。わたしにはありました。ひ...

眠れない日が続いたとき、眠れることがなんて幸せなんだろうと感じたものです。この記事では副作用は無かったと書かれています。わたしにはありました。ひとつは前向性健忘。薬を飲んですぐ眠れる時はいいのですが、眠れないとき起きて何をしたかはっきり覚えていないのです。まれに起こりました。そして継続使用でやめると反対により眠れなくなることです。
これらについては事前の薬についての情報不足や適切な止め方が人によって難しいからだと思います。
薬は本当に必要なときに必要なだけ。
当たり前のことなんですが、毎日服用する薬だと習慣や耐性の問題で難しいんですよね。
最近は厚労省からも漫然投与の問題点が指摘されました。

つづきを読む

違反報告

すべてのコメントを読む

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、ヨミウリ・オンライン(YOL)、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事