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宋美玄のママライフ実況中継

コラム

オムツCM炎上に思う、母親を応援する難しさ

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オムツCM炎上に思う、母親を応援する難しさ

掃除機に乗るのが大好きな息子です

 5月14日は母の日でした。娘と息子からは、それぞれ幼稚園と保育園で作ったプレゼントをもらいました。息子がくれたのは、赤い紙をくしゅくしゅにして、先生たちがカーネーションに仕立ててくれたもの。娘がくれたのは、プレゼントと手紙です。娘はほかにも、私と娘がラブラブにしている絵もくれました。5歳にもなると母の日の意味をよくわかっているので、感謝を伝えてもらえてとても うれ しい気持ちになりました。

 お母さんに感謝を伝えるも伝えないも、それぞれの家庭によりけりです(親子関係はいろいろあり、感謝しないという人も当然います)。こんな中、企業など、外から「母親」を応援する表現の難しさについて考えさせられることがありました。というのも、オムツ会社が作った「ママを応援する」CMがネットで炎上したのです。

苦労するのはママだけ?

 そのCMは、泣きぐずったり、病気になったりしている赤ちゃんをママが一人で世話をするシーンが約2分間次々に流れ、最後は「その時間がいつか宝物になる」と締めくくられていました。育児経験者からは「孤独に育児をしていた時が思い出され、 つら い」との声が上がっています。私自身は辛いというほどには感じませんでしたが、赤ちゃんのパパをはじめ、他に誰も苦労を分かち合っている人がいないことには、違和感を覚えました。今回炎上した何よりの原因は、苦労するママが救われるシーンがないまま、「いつか宝物になる」と、辛さを別の価値に置き換えるよう促される結末だったことだと思います。

 CMを評価するとすれば、一昔前までは、育児や家事は外で働くことに比べて楽だと思われていたけれども、実際は大変で、ママたちが頑張っていることを「理解」している点でしょうか。しかし、その解決策を表現してから「応援」と言ってほしかったと思います。今の時代、当たり前に言われている父親の育児参加、行政や地域のサポート、近くにいる人たちの温かさなど、どれでもいいからCMの中のママに与えられなかったのでしょうか。

時代はもっと進んでいた

 私が初めての子を産んだ5年前と比べ、育児が大変であることへの理解は進み、覚悟して親になったのだから自己犠牲を払うのは当然だ、という根性論はかなり減りました。孤立した育児はずいぶん問題視されるようになりましたし、子連れの親たちに、外出先で迷惑をかけることばかり気にしなくてもいいよ、と言う声もより聞かれるようになりました。ママを応援するCMを作って時代の最先端を行こうとした制作者よりも、時代は進んでいたということではないでしょうか。

 ママを応援してくれる気持ちはとても嬉しいし、差別をしたり問題表現があったりしたわけではありません。次は、時代に合った親の応援CMを作っていただきたいと思います。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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5件 のコメント

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育児

50代女性

育児は大変だけど、いつかは宝になる…のは、実感となって初めて同感できるものなのに、CMで他人事のように、しかも上から目線で語られては興ざめるのか...

育児は大変だけど、いつかは宝になる…のは、実感となって初めて同感できるものなのに、CMで他人事のように、しかも上から目線で語られては興ざめるのかもしれない 

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CMを見て子どもを産みたいと思えない

あおみ

オムツは布オムツと違って育児を楽にするアイテムなのに、このCMでは大変さばかりが強調されてしまって、オムツ会社がこの動画を作る意味があったのかな...

オムツは布オムツと違って育児を楽にするアイテムなのに、このCMでは大変さばかりが強調されてしまって、オムツ会社がこの動画を作る意味があったのかな?と思います。独身女性がこのCMを見て、子どもを産みたいと思えるのかな?先生が言うように、せめて最後にママが大変な状況をパパが理解してオムツを交換する場面がとかがあったら、救いがあったのになと思いました。

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解決策は時間の経過だけ

もも

先のコメントの方のご意見に同意です。 3歳児を育てていますが、0歳児の時はまさに CMどおり、辛すぎて記憶も定かではないです。日々ビクビクしなが...

先のコメントの方のご意見に同意です。
3歳児を育てていますが、0歳児の時はまさに
CMどおり、辛すぎて記憶も定かではないです。日々ビクビクしながら過ごし、罪悪感に駆られながら首も座らない子を連れて保活をし、腰も座らないうちに入園させました。それまでは誰も助けてくれませんでした。
時代はそんなに進んでない。真実をつきすぎているから話題になったのでは?
解決してくれたのは、時間だけでした。

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