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都会でも増えるアニサキス、「新鮮」に潜む落とし穴
推計では年間7000件
近年、魚の生食などによって発生する、アニサキスという寄生虫による食中毒の報告が急増しており、大きな問題となっています。厚生労働省の発表している食中毒統計資料によると、2016年のアニサキスによる食中毒の報告件数は124件で、2007年における報告数の20倍以上となり、ノロウイルス(354件)、カンピロバクター菌(339件)に次ぐ、第3位の原因微生物となっていました。
しかし、これらの件数は、あくまでも医療機関から発生届のあった報告数であり、それ以外にも多くの未報告例もあることが指摘されています。国立感染症研究所が行った調査では、病院の患者33万人における診療報酬明細書データによる試算で、年間に約7000件のアニサキス食中毒が発生していると推計されました。つまり、報告されている件数は「氷山の一角」であり、それよりも 遥 かに多いアニサキス食中毒が、全国で発生しているということなのです。
身近な魚に寄生
アニサキスは、長さ2~3cmの白い幼虫として、サバ、サンマ、アジ、カツオ、イワシ、サケ、イカなど、いろいろな種類の魚介に寄生しています。一般的なスーパーなどで買ってきた魚でも、その内臓や身をよく探してみれば、白い糸のようなアニサキスの幼虫が、小さくとぐろを巻いて住んでいる姿がみつかることがあります。アニサキスは、魚の内臓が大好きで、ふつうは内臓を中心に寄生しています。しかし、魚の内臓の鮮度が落ちてしまうと、刺し身などで食べる魚の身(筋肉)の方に移動する傾向があります。
胃や腸に激痛
アニサキスは、胃や腸の壁に入ってしまうことで、強い腹痛や 嘔吐 を起こすことがあります。腹痛は想像以上の激痛となることもあり、緊急手術を必要とするような虫垂炎や胆石症などと間違えられることもあるほどなのです。
アニサキスを駆除する有効な治療薬はありません。胃のアニサキスの場合には、内視鏡検査で胃の壁に頭を潜り込ませている幼虫をみつけて、直接つまみ出すことで治療しています。
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三浦岬の朝市で買ってきた新鮮で大きな鯖2匹を自分で捌いて「しめ鯖」にしました。その頃、丁度「胃カメラ」を飲む機会があって、胃の中に居た1匹は取...
三浦岬の朝市で買ってきた新鮮で大きな鯖2匹を自分で捌いて「しめ鯖」にしました。その頃、丁度「胃カメラ」を飲む機会があって、胃の中に居た1匹は取って貰いましたが、何と元気のいいのが「小腸」に潜り込んでいたようです。
次の日に、横浜で宴会があって痛飲していましたが、急に腹痛を起こし救急車を呼ぶ羽目になりました。最初の病院で検査が終わると「手術が必要」と判断されましたが、夜間で外科医が不在だったため、もう一度救急車に乗せられ、激痛のまま20分ほど走って次の病院でまた同じ検査をされて手術になりました。
30cmほど小腸が壊死しており摘出されました。
でも、良かったことが2つあります。
1つは、東京在住ですが、横浜で良かったと思いました。東京なら病院盥回しになったりしたら命を落としていたかもしれないことです。
2つ目は、沢山出来たので息子夫婦にもお裾分けしたり、家内も食べたりしましたが、アニサキスにやられたのは、私だけだったことでした。
アニサキスは本当に怖いですね。
後日談があります。手術後一年半位無事だったのですが、腹が飛びだす形の「腹壁瘢痕ヘルニア」になってしまいました。
人口皮膜を入れる手術で、自腹を2回も切る羽目になって、アニサキスへの恨みは倍増しました。皆さんもアニサキスには注意してください。
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