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知って安心!今村先生の感染症塾

医療・健康・介護のコラム

都会でも増えるアニサキス、「新鮮」に潜む落とし穴

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食中毒を防ぐには

 アニサキスは、養殖魚ではほとんどみられません。加熱には弱く、60℃でも1分間、70℃以上ではすぐに死んでしまいます。 また、冷凍にも弱く、マイナス20度以下で24時間以上で死んでしまうので、一度冷凍した魚であればリスクは少なくなります。一方、酢、しょう油、わさび等では、アニサキスの幼虫は死にません。したがって、シメサバも残念ながらアウトです。

 アニサキスがいる可能性が高い内臓を、生で食べるのは避けましょう。また、鮮度の良い魚を選ぶことで、内臓にいる幼虫が身の部分(筋肉)へ移動することを、少しでも防ぐことができます。

 刺し身などを食べるときには、よく むことでアニサキスの体が壊され、食中毒を起こしにくくなる可能性があります。また同じような理由で、通常の刺し身よりも「たたき」にする方がリスクは低くなるかもしれません。しかし、体長2~3cmと非常に小さく、とぐろを巻いているので、「かみ砕き法」や「たたき」での対応には限界があるといえるでしょう。

「新鮮=安全」とは限らない

 かつてアニサキス食中毒は、新鮮な魚を食べることができる漁港近くの地域で、集中的に発生していました。しかし今は、本来は焼いて食べたり、冷凍して運んでいた魚を、そのまま食べる機会が増えています。それによって都心でも、サンマの刺し身などによるアニサキス食中毒が、多くみられるようになってきています。

 「新鮮=安全」とは限りません。天然物で冷凍なし、おまけに内臓つき、というのが危険なパターンです。「天然、新鮮」は美食のキーワードですが、そこにはアニサキスがいるかもしれません。

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知って安心!今村先生の感染症塾_201511_120px

今村顕史(いまむら・あきふみ)

がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長

石川県出身。1992年、浜松医大卒。駒込病院で日々診療を続けながら、病院内だけでなく、東京都や国の感染症対策などにも従事している。日本エイズ学会理事などの様々な要職を務め、感染症に関する社会的な啓発活動も積極的に行っている。著書に『図解 知っておくべき感染症33』(東西社)、『知りたいことがここにある HIV感染症診療マネジメント』(医薬ジャーナル社)などがある。また、いろいろな流行感染症などの情報を公開している自身のFacebookページ「あれどこ感染症」も人気。

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1件 のコメント

アニサキスにやられました!

ふじさん

 三浦岬の朝市で買ってきた新鮮で大きな鯖2匹を自分で捌いて「しめ鯖」にしました。その頃、丁度「胃カメラ」を飲む機会があって、胃の中に居た1匹は取...

 三浦岬の朝市で買ってきた新鮮で大きな鯖2匹を自分で捌いて「しめ鯖」にしました。その頃、丁度「胃カメラ」を飲む機会があって、胃の中に居た1匹は取って貰いましたが、何と元気のいいのが「小腸」に潜り込んでいたようです。
 次の日に、横浜で宴会があって痛飲していましたが、急に腹痛を起こし救急車を呼ぶ羽目になりました。最初の病院で検査が終わると「手術が必要」と判断されましたが、夜間で外科医が不在だったため、もう一度救急車に乗せられ、激痛のまま20分ほど走って次の病院でまた同じ検査をされて手術になりました。
 30cmほど小腸が壊死しており摘出されました。
 でも、良かったことが2つあります。
 1つは、東京在住ですが、横浜で良かったと思いました。東京なら病院盥回しになったりしたら命を落としていたかもしれないことです。
 2つ目は、沢山出来たので息子夫婦にもお裾分けしたり、家内も食べたりしましたが、アニサキスにやられたのは、私だけだったことでした。
 アニサキスは本当に怖いですね。
 後日談があります。手術後一年半位無事だったのですが、腹が飛びだす形の「腹壁瘢痕ヘルニア」になってしまいました。
 人口皮膜を入れる手術で、自腹を2回も切る羽目になって、アニサキスへの恨みは倍増しました。皆さんもアニサキスには注意してください。

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