その他(排便・排尿)
排便後、知らないうちに漏れる
便の後、知らないうちに残っていた便が出て、下着が汚れます。トイレに行って初めて気づきます。便を出す力も弱っている気がします。最近は心配でパッドをしていますが、誰にも相談できず悩んでいます。(70歳女性)
薬で改善特殊な病気なら手術
味村 俊樹 三慶会指さし扇おうぎ病院 排便機能センター長(さいたま市西区)
便失禁(便漏れ)の症状には、便意を感じるけれど、我慢できずに漏らす切迫性便失禁と、便意を伴わず、気づかないうちに漏らす漏出性便失禁があります。
漏出性便失禁は、排便後に起きることが多く、質問者の場合は、典型的なこの症状です。便失禁の治療で受診する人の50%は漏出性、35%は漏出性と切迫性の両方があり、特異な症状ではありません。
症状の原因としては、意思とは無関係に、肛門を自動的に閉めている筋肉が、老化で弱ってしまう「内肛門括約筋機能低下」が、最も多くみられます。
その場合、便の硬さを整えて便のきれをよくするポリカルボフィルカルシウムという飲み薬が効くことが多いです。また、排便時に便を全部出し切れていない場合は、排便直後に新レシカルボン座薬を使用すると、改善することもあります。
まれに直腸 瘤 や直腸重積といった特殊な病気が原因のこともあり、その場合は手術することもあります。
便失禁の症状がある人は日本に500万人以上おり、珍しい症状ではありません。治療で良くなる人が多いので、一人で悩まずに一度、病院を受診してください。
今年3月、日本初の診療ガイドライン(指針)が出て、便失禁を治療できる病院も増えています。また、「 おしりの健康.jp 」のホームページで、検査や治療ができる病院を調べることもできます。