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介護・シニア

ダブルケア、孤立を防げ…育児と介護、悩み共有

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ダブルケア、孤立を防げ…育児と介護、悩み共有

当事者たちのリフレッシュや情報交換の場となっているダブルケアカフェ(岩手県奥州市で)

 親の介護と子育てのダブルケアに直面する人は、忙しい生活で心身の負担が大きくなりやすく、悩みを相談できる仲間もなかなか見つからない。こうした人たちの孤立を防ぎ、負担を減らせるようにと、当事者を支える取り組みが広がってきている。

  ■話して気分転換

 「忙しくて友達と会う時間なんてない。髪は1年近く切っていないから、結ってごまかしている」「病院の待合室で、元気なおじいちゃん、おばあちゃんが孫を連れて来ているのを見るとうらやましくて……」

 岩手県奥州市で1月下旬に開かれた「ダブルケアカフェ」には、現在直面する人や経験者など女性4人が参加。お茶を飲みながら約2時間、それぞれの日常生活や悩みなどを話し合った。参加者は「気分転換でき、愚痴もこぼせる場所はここしかない」と笑顔を見せた。

 会を開いたのは、認知症の義母の介護と就学前の2人の子育て中の同市内の女性(37)。「介護者の集まりは世代が上の人ばかりだし、ママたちが集まる場では介護の話に共感してもらえない。それなら自分で作ろうと思った」といい、約1年前から月1~2回ペースで続けている。

 女性は「ほかの人の経験談はお役立ち情報になる。外で思い切りしゃべって帰ると、家族に優しくできることも実感する。細く、長く続けたい」と話す。

 働く人が出資し、経営する「ワーカーズ・コレクティブ」の神奈川県内19事業所も、2016年10~12月にダブルケアカフェを開いた。当事者の声を聞き、地域で何ができるかを考えるのが狙いで、神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会(会員132団体)が主催した。「主催側も、ダブルケアで困っている人がどこにいるのかわからず、ビラを配って参加を呼びかけた」(井上浩子専務理事)。19会場で、延べ46人のダブルケアの当事者や経験者、自治体の担当者など計176人が参加した。「いつでも来て、しゃべることができる場所が必要」との意見も出て、一部事業所では、ダブルケア当事者も集まれる場所づくりを検討しているという。

  ■具体的な情報紹介

 一般社団法人ダブルケアサポート(横浜市)は昨年、ダブルケア当事者向けのハンドブック「ハッピーケアノート」を作成し、1冊300円で販売している。ダブルケアを経験した人の声を集めて編集したもので、どのような支援やサービスを活用して生活を落ち着かせていったのかや、1日の生活の流れなど、具体的な内容を紹介している。

 編集を担当した東恵子代表理事は「必要な情報が届かず『誰に何を相談したらいいのかわからない』というダブルケア当事者も多い。経験者のアドバイスを参考にしてほしい」と話す。

心身とも「しんどい」…経験者調査

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経験者の声などを紹介している「ハッピーケアノート」

 ソニー生命保険が昨年秋に行ったインターネット調査では、ダブルケア経験者の半数が精神的、体力的な大変さを「負担に感じた」と回答した。

 経済的負担や仕事との両立を挙げる人も多かった。また、ダブルケアに直面する人に必要な支援策を尋ねたところ、「介護も育児も合わせて相談できる行政窓口」(93%)、「経験者が直接相談にのってくれる」(86%)、「おしゃべり会など当事者がつながる場」(77%)などとなった。

 調査・分析を行った横浜国立大の相馬直子准教授は「団塊ジュニア世代が高齢期を迎える2040~50年頃まで、ダブルケアに直面する人の割合は増えていく。複数のケアが重なっても負担にならない社会や、ケアをしながら働ける環境を作ることが課題になる」と指摘する。

  <ダブルケア>  子育てと介護が同じ時期に重なる状態で、当事者は「ダブルケアラー」と呼ばれる。晩婚・晩産化などを背景に増えているとされ、内閣府の推計では男女計25万3000人。平均年齢は40歳前後で、仕事との両立なども課題となる。

 (滝沢康弘)

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