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歯磨きする時はそばに…歯ブラシくわえて転倒も
手本見せて習慣づけよう
我が子の虫歯予防に、毎日の歯磨きは欠かせない。ただ、子ども任せにしておくと、歯ブラシをくわえたまま遊んで転倒する危険が伴う。親が寄り添うなどして事故を防ぎながら、上手に歯磨き習慣を身に付けさせたい。
さいたま市の女性会社員(34)は、子どもの歯磨きが悩みの種だ。次女(2)は歯ブラシをくわえながら遊び回ることが多く、目が離せない。長女(5)も以前、歯磨き中に転びそうになったことがあり、女性は「けがでもしたらどうしようかと心配です」と話す。
子どもが歯ブラシをくわえたまま転倒し、口の中をけがする事故が相次いでいる。消費者庁によると、6歳以下の子による歯磨き中の事故情報は、2010年12月以降の6年間で139件あった。うち3歳以下の事故が124件と大半を占めており、歯ブラシがのどの奥や頬の内側に刺さって入院した子どももいる。
事故を避けるため、消費者庁は保護者が必ずそばで見守るよう呼びかける。また、〈1〉ソファやいす、踏み台など転落する恐れのある場所で歯磨きをさせない〈2〉床の上にクッションや布団、電気コードなど転倒の原因となるものは普段から置かない――などを求めている。担当者は「大切な歯磨きが、思わぬ事故につながることもある点に気をつけてほしい」と話す。
安全対策を施した歯ブラシも増えている。家庭用品大手のライオンが2月に発売した幼児向け歯ブラシは、ハンドルをシリコーン製にし、左右に柔軟に曲がるようにした。万が一の際にも、口の中への衝撃を従来品より95%減らせたという。
一方で、縦方向には曲がりにくくする工夫をし、歯をしっかり磨けるようになっている。開発を担当した横手弘宣さんは「安全性を高めることと、きちんと磨けることを両立させた。子どもが自分で歯磨きができる環境を整えることにつながれば」と話す。
東京都の有識者協議会は2月、歯ブラシメーカーに対し、安全対策を強化するよう求める報告書をまとめた。安全面に配慮した歯ブラシの開発が期待される。
乳歯は6歳頃から永久歯に生え替わっていくが、乳歯のうちから歯磨きすることは大事だ。乳歯を虫歯で早く抜くことになってしまうと、永久歯が正しい場所に生えてこなくなり、歯並びが悪くなる恐れがある。
ただ、小児歯科医で元明海大学歯学部教授の渡部茂さんは、「口元は敏感で、その中を探られるのを嫌がる子どもは多い」と指摘する。
歯磨き習慣をつけさせるために、上のきょうだいや親が歯磨きの手本を見せたり、親が抱きかかえて磨かせたりすることを勧める。「スキンシップのひとつにすることで、嫌がらず毎日の習慣にしていくことができます。仕上げ磨きをしてあげることも忘れないで」とアドバイスする。
事故を防ぐよう気をつけつつ、小学校に入学するまでには子どもが一人で歯磨きができるように習慣づけさせるといいという。
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