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赤いオレンジ 濃厚な甘み…愛媛県宇和島市
赤い果肉が特徴的なブラッドオレンジは春が旬だ。イタリア原産のオレンジの一種を国産作物に定着させた愛媛県宇和島市を3月末に訪れた。
坂を上っていくと、標高数十メートル付近の急斜面に畑があった。高さ約2メートルの木々にたわわに実るのは直径7センチほどの実。ブラッドオレンジの「タロッコ」という品種だ。ブラッドオレンジは果肉がブラッド(英語で血)のような濃い赤なのでこう呼ばれる。栽培に取り組む児玉
気候が温暖な愛媛県南西部はミカンの産地。だが、温州ミカンは消費が低迷し、各農家は様々な品種で差別化を図ってきた。児玉さんがブラッドオレンジの栽培に取り組み始めたのは、15年前だ。「地球温暖化と言われるこの辺りの気温上昇の話を聞き、試したいと思った」と振り返る。
地元の気象データをもとにした愛媛県みかん研究所の調査で、宇和島市の1990年代前半までの年平均気温は15~16度。それが90年代後半以降は17度を上回るようになった。原産地のイタリア・シチリア島に近い気候だ。
児玉さんら有志の試みは少しずつ広がり、2005年からは、えひめ南農協を中心に栽培が本格化した。夏は土が乾燥しているほうが糖度が高くなるため、雨水を防ぐシートを張るなど、栽培には工夫を重ねた。05年当初は、作付面積計2ヘクタールで収穫もわずかだったが、今年はタロッコと、やや小ぶりの品種「モロ」を合わせ、計30ヘクタール、250トンもの収穫が見込まれている。
農協の選果場には、取れたての濃厚な香りが漂っていた。実をナイフで切ってもらうと、中身は予想以上に鮮烈な赤だった。試食すると、濃厚な甘みと酸味がほどよく、ぜいたくな味わいだ。
ブラッドオレンジは05年以降、輸入が本格化したが、現在、輸入は減少傾向で、米国産を中心に年40トン程度と推計される。一方、国産は愛媛県と大分県を合わせ、タロッコだけで213トン(農林水産省の特産果樹生産動態等調査、14年)に上る。国産が首都圏の百貨店や大手スーパーにも並ぶようになった。
同農協みかん販売課の白井照良さんは「味も輸入ものには負けていませんよ」と自信を示す。児玉さんも、「果肉の赤みは健康によいと言われる。若い女性にも、もっとアピールしていきたい」と意気込んでいる。
カットフルーツに
ブラッドオレンジを買ったらビニール袋などに入れ、冷暗所か冷蔵庫で保存する。皮はむきにくいので、包丁などで半分に切り、さらに6~8等分してカットフルーツとして食べるのが普通だ。「搾ってジュースにすると濃厚な味わいや色合いが楽しめる」と児玉さん。
えひめ南農協のホームページ( http://www.blood-orange.jp/ )でも買える。タロッコのLサイズ5キロで税込み4500円。一個一個の大きさが不ぞろいなら、5キロで同2500円。同農協直販センター(0120・021・272)でも注文を受け付けている。(小野仁、写真も)
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