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室伏由佳のほっこりスポーツカフェへようこそ

医療・健康・介護のコラム

姿勢は生活と連動する? 何気ない習慣を健康バロメーターに!(下)

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姿勢は生活と連動する? 何気ない習慣を健康バロメーターに!(下)

いつもピラティスをするときにマットを占領する愛猫のバニラくん。私のピラティスの先生。

 みなさん、こんにちは! 桜もそろそろ終わりですが、お花見には行きましたか? 私は東京都内でお散歩がてら、花見しました。目黒川に沿って歩き、満開の桜の木の下で深呼吸。ひらひらと舞う花びらを見て、とても気持ちがなごみました。同時に、自分がとても健やかな状態であることも実感しました。この季節にしか見られない、かわいらしいピンク色の花びらに、きっとたくさんの人がやさしい気持ちになったことでしょう。

 今回のカフェは、前回に続いて、姿勢と健康についてお話しします。

自分の姿勢をまずは確認

 前回は、悪い姿勢と良い姿勢の形をそれぞれ写真で示しました。姿勢の善しあしを認識することが、まずは大切だと思います。皆さんも、自分の普段の姿勢がどうなっているかを確認してみましょう。

 たとえば、お尻を突き出すように腰を落としていると、すぐ上にある腰椎も曲がってしまいます。こうなると、背中が丸まった「 悪い姿勢 」になりがちです。日頃から良い姿勢を意識して保つようにすれば、美しい姿勢を支える筋肉も発達しやすいのではないかと思います。

 姿勢を支える筋肉はたくさんあります。今回は、一緒に腹筋を意識してみましょう。

 おなかの筋肉に力を込められますか? 私は、起きている間はずーっと腹筋に力を入れて過ごしています。そのことをアスリート仲間に話すと、「えー? それホントですか??」と驚かれたことがあります。

 本当です(笑)。

 腰の骨を真っすぐにして、少し引き締める感じで、おなかに力を込め続けています。呼吸は普通にしています。ただし、エクササイズとしておなかに力を入れるときは、呼吸の仕方がとても大切になります。ここでは、私が指導者資格を持っているマットピラティスの呼吸法をご紹介します。

 ピラティスでは、呼吸に姿勢、それに「コア」と呼ばれる体の中心や骨盤に同時に意識を集中します。息を吸い込みながら胸を膨らませる胸式呼吸が中心のようですが、私自身の実践体験からは、息を吸いながらおなかを膨らませる腹式呼吸と両方できるようにしておくのが良いと感じます。

 まずは、姿勢を真っすぐにして立ってみましょう(写真1)。次に、両手で 肋骨(ろっこつ) を持ちます。人さし指の位置を、みぞおちの高さの骨に合わせます(写真2)。この時、親指は背中の方を持つような形で後ろに回します。

 ここで、ゆっくり、大きく息を吸って、胸を風船のように膨らませていきます(写真3)。時間にすると、8秒ぐらいかけます。この時、背中側も意識して、親指が押し出されるくらいの強さで膨らませます。

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 次の8秒間で、膨らんだ胸の風船を元の大きさに戻していきます。最初は、おへそのあたりを中心に、おなかをへこませながら息を吐いていきます。この一連の流れ――つまり、8秒間で吸って8秒で吐く――を5回ほど繰り返しましょう。 

 8秒にさしかかるころには息を吐き切っていることと、並行しておへそを中心におなかを内側に沈めるようにすることが大切なポイントです。これが十分にできていれば、息を吐き切った時に、おなかの奥の方にある筋肉――一番奥にある「腹横筋」です――に、ギュッと力が入っているはずです。

意識と呼吸で、美しい姿勢を作れます

 腹横筋が働くことで、体の中心(コア)を鍛えられます。呼吸の仕方やおなかの力の込め方によっては、座っていても筋肉を活動させられます。それこそ、コソコソ行う「コソ練」です(笑)。できるだけ自分の体を意識して実践しましょう。

 私はアスリートを含め、日ごろ小学生から大人までを対象に運動指導を行っています。その経験から言うと、トップアスリートでさえ自分の姿勢をいつも把握している方は多くなさそうです。無意識にしている歩き方や座り方が、そのまま運動する時の姿勢に出てしまいます。運動の効果を上げるためにも、自分の姿勢のくせを知っておくことは大切です。自分の体を意識するように工夫し続けることが、美しい、良い姿勢につながります。

 心地よい春だから、深呼吸するような気持ちでぜひ試してみてくださいね。

 それではまた、次回のカフェでお会いしましょう!

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室伏由佳(むろふし・ゆか)

 1977年、静岡県生まれ・愛知県出身。株式会社attainment代表取締役。2004年アテネオリンピック女子ハンマー投げ日本代表。円盤投げ、ハンマー投げ2種目の日本記録保持者(2016年4月現在)。12年9月引退。

 アスリート時代には慢性的な腰痛症などスポーツ障害や婦人科疾患などの疾病と向き合う。06年中京大学体育学研究科博士課程後期満期退学(体育学修士)。スポーツ心理学の分野でスポーツ現場における実践的な介入をテーマに研究。現在、スポーツとアンチ・ドーピング教育についてテーマを広げ、研究活動を継続。現在、上武大学客員教授、朝日大学客員准教授や、聖マリアンナ医科大学スポーツ医学講座、徳島大学医学部、中央大学法学部など、複数の大学において非常勤講師を務める。スポーツと医学のつながり、モチベーション、健康等をテーマに講義や講演活動を行っている。日本陸上競技連盟普及育成部委員、日本アンチ・ドーピング機構アスリート委員、国際陸上競技連盟指導者資格レベルIコーチ資格、JPICA日本ピラティス指導者協会公認指導師。著書に『腰痛完治の最短プロセス~セルフチェックでわかる7つの原因と治し方~』(角川書店/西良浩一・室伏 由佳)。

公式ウェブサイトはこちら

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