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副作用が危険!高齢者の「多すぎる薬」防止、国が指針策定へ

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 高齢者に多くの種類の薬が処方され、副作用で体調が悪化するケースが少なくないことから、厚生労働省は、薬の処方を適正化するためのガイドライン(指針)を策定する方針を固めた。

 医療ビッグデータを活用して全国規模で実態を分析し、副作用を招きやすい危ない薬の飲み合わせなどを調べる。17日夕、有識者検討会の初会合を開く。

 高齢者は薬を分解する機能が低下しており、副作用が出やすい。複数の持病を抱えることが多く、薬の種類が増えがちだ。高齢者が6種類以上の薬を併用すると、一層副作用が出やすくなり、転倒などを招く恐れが高まるというデータがある。医療機関からは副作用が原因で入院した高齢患者の報告が相次いでいるが、実態は明らかではない。

 厚労省は検討会で薬の専門家らから意見を聞き、問題点を整理。その後、患者が医療機関でどんな治療を受けたのかが分かる診療報酬明細書のデータベースの情報や医薬品医療機器総合機構に寄せられた副作用報告などを分析し、薬が増えた際に起きやすい副作用や、危ない薬の飲み合わせなどについて調べる。関連経費は2018年度予算の概算要求に盛り込む方針。

 指針の策定は、分析結果なども踏まえ、18年度末をめどに目指す。持病が多い高齢者は複数の医師から薬の処方を受け、結果的に多くの薬を服用しているケースも多い。そのため医師、薬剤師が、服薬状況を共有して薬の処方を減らす体制作りも進める。

意識障害など深刻な症状も

 高齢者の薬の副作用は、ふらつき、転倒による骨折、意識障害など、心身に大きなダメージを与えるものも少なくない。過去には、日本老年医学会が2015年に「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を改訂し、慎重な投与が求められる薬のリストをまとめ、注意を促している。厚生労働省も昨年度の診療報酬改定で、不必要な薬を減らすことを促す仕組みを導入したが、効果は十分上がっているとはいえない現状だ。

 厚労省はまず実態解明を進め、科学的な根拠を基に危険な薬の組み合わせなどを医師や薬剤師に示し、対策を一層強化する考えだ。高齢者の健康を守るため、医療関係者も積極的な取り組みが求められる。

(医療部 西原和紀)

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