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松永正訓の小児医療~常識のウソ

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「私、失敗しないので」は本当?

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たかが鼠経ヘルニアだが 大人の外科医は、毎日のように胃がんや大腸がん、それから胆石の手術をしています。一方、小児外科医は 鼠径(そけい) ヘルニア(脱腸)の手術を行っています。鼠径ヘルニアとは、脚の付け根(鼠径部と言います)に、腸を包んでいる腹膜がポケット状に飛び出してきて、そのポケット内に腸がはみ出てしまう病気です。 手術は下腹部に2~3センチの小切開を加えて、奥からヘルニアの袋(腹膜のこと)を…

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松永 正訓(まつなが・ただし)

 1961年、東京都生まれ。1987年、千葉大学医学部を卒業し、小児外科医となる。日本小児外科学会・会長特別表彰(1991年)など受賞歴多数。2006年より、「松永クリニック小児科・小児外科」院長。

 『運命の子 トリソミー  短命という定めの男の子を授かった家族の物語』にて2013年、第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。著書に『小児がん外科医 君たちが教えてくれたこと』(中公文庫)、『子どもの危険な病気のサインがわかる本』(講談社)など。

 ブログは http://wallaby-clinic.asablo.jp/blog/

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9件 のコメント

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神の手外科医か…

海外ナース

日本人で海外の医療現場でサージカルナースとして働いている者です。親が外科医でいかに日本の医療現場がいかれているか聞かされていたので、日本の医療機...

日本人で海外の医療現場でサージカルナースとして働いている者です。親が外科医でいかに日本の医療現場がいかれているか聞かされていたので、日本の医療機関に入る事は最初から考えていませんでした。

神の手はいないとおっしゃいますが、少なからずいらっしゃいますよ。勿論著者様の言う通り、一つの手術に対しての集中力を持って成功率が高いのは最もです。


ですがしかし、外科的センスに長けてる方を神の手と言うならいます。日本の外科医はやることが多すぎますので、アメリカの様にサージカルが出来る事は任せ、手術の必要な事だけに徹すればもっといい外科医が出てくるのではないかと存じます。

何年経っても一定のレベルに達する事が出来ない方もいるのも事実です。適材適所という言葉がありますが、日本の外科医自体は素晴らしい技術と集中力を持った方が多いのに活躍出来る現場が少なく海外へ技術と人材が流出しています。

もっと適合不適合と言ったら乱暴かもしれませんが、適材適所に人材を配置しより良い人材と技術を育成していく環境を作っていくのが一人でも多い神の手を持つ外科医を世に出して行く道なのではと思います。

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診断と手術の前にある人とシステムの問題 

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

今週は某病院心臓外科で3倍の死亡率と、有名人の若年乳癌死のニュースがありました。 10年ほど前の某大学心臓外科医療事故の第三者委員会でも「緊急症...

今週は某病院心臓外科で3倍の死亡率と、有名人の若年乳癌死のニュースがありました。

10年ほど前の某大学心臓外科医療事故の第三者委員会でも「緊急症例が多く、チーム医療の構築ができず、周囲への配慮が欠けていた」という文言がありましたが、定期手術と緊急手術の垣根が下がっているのは問題です。

一つの命に食らいつく執念も大事ですが、過重労働だと技術ミスや判断ミスが増え、人的資源や物的資源を浪費させ、バッドサイクルに入りますので、無理はいけません。
また、緊急症例や大手術では輸血が必要なことが多いですが、輸血は一般人の協力が必要ですし、他の救いうる命の分を奪うのは良くありません。

人員問題だけではなく、早期発見によるハイリスク症例の拾い上げからの定期手術への持ち込みや治療・蘇生不要の確認による救急症例の縮小が大事だと思います。

後者も「なぜ失敗したのか」を考えるのがみんなのために大事です。
診断にも、治療にも、絶対はありませんが、手間をかけて、グレーゾーンの運用を理解して診療や経過観察を行うと失敗は少なく、小さくなります。
心臓外科の話と一緒です。

乳腺腫瘍の診察や細かな性状の鑑別、遠隔転移の検出は厄介ですが、乳房内の悪性腫瘍に限って言えば、典型的な良性と悪性、および境界領域の区別の診断戦略もほぼ固まっています。(BI-RADS)

若年者であり、医師と患者双方のミスもあったそうですが、超音波で判断が分かれる症例は生検やMRIがいいのかなと個人的には思います。

解決策にはシステムの改善と、患者も医師も、疾患の、とりわけ良悪境界例の複雑性と向かい合うことしかありません。

ドラマの「失敗しないので」という言動は、現場に少なからずいる傲慢な医療者に直接批判せず、気づかせる筆者の主張だったのかもしれません。
多少傲慢になって、自分を奮い立たせないと頑張れないのも分かりますけどね。

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手術訴訟や医療崩壊の背後にある社会変化

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

タイムリーなことに、大都市大学病院での術後合併症の確認不足による死亡での訴訟がありました。 訴訟結果ではマニュアルの順守が争点になっていますが、...

タイムリーなことに、大都市大学病院での術後合併症の確認不足による死亡での訴訟がありました。

訴訟結果ではマニュアルの順守が争点になっていますが、おそらく、多くの医師は違和感を覚えていると思います。

自分も、慢性期疾患が主体で、コミュニケーションの取りづらい重症患者の微細な変化を取り逃したことがあります。
そこにはその時点での個人の能力や他のスタッフとの関係など色々な原因がありましたが、病状の真実を告げて謝罪しました。

さて、5月27日読売新聞13面に陸の孤島の地域医療崩壊の問題が描かれていますが、争点が医師数に絞られています。

実情にマッチさせるのが難しい専門医制度、女医や時短医のスキルアップや活用などの問題にも絡みますが、医師の個性、多岐にわたる学習や休養、収入、家族関係という複雑な問題の整理はできていません。

難題なのですから仕方ありませんが、各医療機関の収益構造や資格と業務の分布の不均衡をインフラも交えて議論しないと無理でしょう。

同じく、14面にはフランスにおける哲学の授業がありましたが、直接利益のない難題が回りまわって自分の手元に返ってくる感覚の共有とそこからの解決への意識づけは大事です。

その問題が詳細に解けるか否か、若くして解けるか否かではなく、共有できるかの問題がそこにあります。(無関心を作らない)

都会の都会や、都会の田舎でも問題は発生しているので、専門医か否かだけで、都会か否かだけが問題でないことは明白です。

研修医制度、専門医制度だけでなく、市中病院や大学病院の役割も医療産業の立ち位置もこの10年で様変わりしていますが、既得権益や既損権益と調整することが大事になると思います。

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