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介護・シニア
地方移住は準備入念に
仕事決める 体験ツアーに参加
定年前の地方移住に関心が高まっている。「定年後にゆっくり田舎暮らし」ではなく、元気なうちに移住し、収入を得ながら第二の人生をスタートさせるという。ただし「行けば何とかなる」と過信せず、生計の見通しを含めて、事前の準備が何より大切だ。
長野県佐久市に住む笠井
「50歳で大きなプロジェクトが一段落し、そのまま会社で定年を迎えることに疑問を抱いた。農業には以前から関心があり、何より生涯現役でいたかった」と話す。農業大学校では、移住後数年間の収支計画を考えるよう指導された。当面は赤字経営を覚悟しているが、3~5年後にはプラスに転じると見込んでいる。
国の調査(14年)では、都内に住む50代の男性で地方への移住を予定または検討したいと思う人は51%と、10~60代の他のどの世代よりも高かった。50代女性が34%ほどなのとは対照的だ。
地方移住に関する助言を行うNPO法人ふるさと回帰支援センター(東京)代表理事の高橋
人口減少に悩む地方も、都心からの移住者を歓迎している。佐久市観光交流推進課の浜二郎さんによると、仕事のスキル・ノウハウを持った経験者を必要としている地方の中小企業は多く、「担い手不足の農業分野の期待も大きい」という。
ただし、あてもなく移住してから仕事を探すのは、そう簡単ではないようだ。浜さんは「新たに農業を学んだり資格を取ったりして、相応の準備が必要です」とアドバイスする。浜さん自身、保険会社を退職し、同市に移住した経験者。「住み始めてから仕事を探す、という考え方は極力避けましょう」と話す。
一方、家族やパートナーの理解を得ることも重要だ。笠井さんも妻の理解を得るのに、数年を費やしたという。「就農計画や収支計画を作成し、生活への不安を取り除いた」と振り返る。
移住先の生活を事前に体験するのもいい。自治体によっては、現地体験ツアーや居住体験イベントなどを行っている。また資金に余裕があれば、最初は「2地域居住」という選択肢もあるという。
高橋さんは「自宅から近い地域に移住先の住まいを設け、自宅と行き来する生活から始める人も多い。まずは一人で移住し、家族に良さをアピールする方法もある。誰とどこで、どんな暮らしをするのかを考えてから、移住を検討してほしい」と話している。
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