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地方移住は準備入念に

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 定年前の地方移住に関心が高まっている。「定年後にゆっくり田舎暮らし」ではなく、元気なうちに移住し、収入を得ながら第二の人生をスタートさせるという。ただし「行けば何とかなる」と過信せず、生計の見通しを含めて、事前の準備が何より大切だ。

地方移住は準備入念に

リンゴの木の手入れをする笠井さん。「移住には覚悟と準備が必要です」(長野県佐久市で)

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 長野県佐久市に住む笠井 至行しこう さん(53)はこの春から、農家から借りた約15アールの農園でリンゴ栽培を始める。2015年11月に東京都から移住した。農業はまったくの素人で、30年近く勤めた都内企業を退職した後、同県内の農業大学校で1年間、農業の基礎を学んだ。

 「50歳で大きなプロジェクトが一段落し、そのまま会社で定年を迎えることに疑問を抱いた。農業には以前から関心があり、何より生涯現役でいたかった」と話す。農業大学校では、移住後数年間の収支計画を考えるよう指導された。当面は赤字経営を覚悟しているが、3~5年後にはプラスに転じると見込んでいる。

 国の調査(14年)では、都内に住む50代の男性で地方への移住を予定または検討したいと思う人は51%と、10~60代の他のどの世代よりも高かった。50代女性が34%ほどなのとは対照的だ。

 地方移住に関する助言を行うNPO法人ふるさと回帰支援センター(東京)代表理事の高橋 ひろし さんは「地方でのんびりというより、まだまだ働きたいという人が地方に目を向けている」とする。実際、移住を検討して同センターを訪れる人への調査(複数回答)では、移住のタイミングとして「1年未満に」が39%、「1~3年以内に」が24%と、「会社を定年退職してから」(9%)を大きく上回っている。

 人口減少に悩む地方も、都心からの移住者を歓迎している。佐久市観光交流推進課の浜二郎さんによると、仕事のスキル・ノウハウを持った経験者を必要としている地方の中小企業は多く、「担い手不足の農業分野の期待も大きい」という。

 ただし、あてもなく移住してから仕事を探すのは、そう簡単ではないようだ。浜さんは「新たに農業を学んだり資格を取ったりして、相応の準備が必要です」とアドバイスする。浜さん自身、保険会社を退職し、同市に移住した経験者。「住み始めてから仕事を探す、という考え方は極力避けましょう」と話す。

 一方、家族やパートナーの理解を得ることも重要だ。笠井さんも妻の理解を得るのに、数年を費やしたという。「就農計画や収支計画を作成し、生活への不安を取り除いた」と振り返る。

 移住先の生活を事前に体験するのもいい。自治体によっては、現地体験ツアーや居住体験イベントなどを行っている。また資金に余裕があれば、最初は「2地域居住」という選択肢もあるという。

 高橋さんは「自宅から近い地域に移住先の住まいを設け、自宅と行き来する生活から始める人も多い。まずは一人で移住し、家族に良さをアピールする方法もある。誰とどこで、どんな暮らしをするのかを考えてから、移住を検討してほしい」と話している。

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