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あなたの健康百科 by メディカルトリビューン

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同じ病気でも医師によって医療費に差

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同じ病気でも医師によって医療費に差

 地域間あるいは施設間で医療費に差があることは、容易に想像できるだろう。でも、同じ施設でも医師によって医療費にばらつきがあるとしたら―。この度、米国のハーバード公衆衛生大学院の津川友介医師らの研究によって、同施設に勤務する医師の間でも、入院患者の治療にかかる医療費に差があることが明らかにされた。同研究では、医療費が高い医師と低い医師の間で患者の死亡リスクや再入院リスクに差がないことも示され、医療費が高い医師の治療を受けた患者の治療経過が必ずしも良好とは限らないことが示された。詳細は、3月13日発行の医学誌「JAMA Intern Med」( 電子版 )に掲載されている。

医療費のばらつきは「施設間」よりも「医師間」で大

 これまで多くの研究で、地域間あるいは施設間で医療費に差があることが示されているが、入院の必要性や検査内容を含め、最終的に治療内容を決定するのは医師だ。しかし、医師によって医療費にどの程度の違いがあるのかについてはよく分かっていない。また、同じ施設に勤務する医師の間で同一の治療にかかる医療費に差がある場合、医療費が高い医師の方が患者の治療経過が優れているのかどうかなど、医療費の違いが治療の現場でどのような影響をもたらすのかについても明らかにされてこなかった。

 そこで、研究グループは今回、2011~14年に米国内の医療施設に内科系の病気で入院し、3,195施設で一般内科医5万79人による治療を受けた83万9,512人のデータを用いて解析を行った。患者は65歳以上で、公的医療保険「メディケイド」を受給していた。

 まず、入院費用のばらつきを説明する要因として、施設、医師、患者の各要因がどの程度関連しているかを算出した。その結果、施設、医師、患者の要因の関与の度合いはそれぞれ6.2%、10.5%、83.3%で、施設間よりも医師間で医療費のばらつきが大きかった。

 次に、一般内科医のうち、2011~12年に10人以上の入院患者の治療を担当した入院患者専門のシフト勤務医1万3,833人のデータを用いて、医師による医療費の差と患者の治療成果(入院日から30日以内の死亡率・退院後30日以内の再入院率)との関係について解析したところ、高い医療費をかける医師で患者の治療成果が上がるわけではないことが示された。

「日本でも同様の研究が必要」

 医療サービスの効率化を目指した政策は主に施設をターゲットとしているが、今回の研究では同じ施設に勤務していても医師によって医療費にばらつきが認められたことから、研究グループは、「施設だけでなく個々の医師の診療パターンにも目を向けた介入が必要ではないか」と指摘。また、医師ごとの医療費の差が患者の治療成果に関係しないとの結果については、「高額な医療費を抑制したとしても、医療の質が低下することはないかもしれない」との見方を示している。

 さらに、津川医師は自身のブログで「医療費の増加は米国だけでなく日本でも大きな問題だが、日本で同様の結果が得られるかどうかは現時点では不明。今後の研究が必要だ」とした上で、「医療の質を落とすことなく医療費を抑えるためには、医師の診療パターンにばらつきがあることを理解し、それが医療費や患者の健康にどのような影響を与えるのかを評価する必要がある」と強調している。

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kenkohyakka

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