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患者支援 チーム医療…職場 家族 社会が力に(3)基本法

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基本法…治療と仕事 両立へ

患者支援 チーム医療…職場 家族 社会が力に(3)基本法

丹藤昌治さん

  町永  がん対策基本法が昨年改正されました。

  丹藤  2006年に法律が成立し、理念でうたわれたのは、研究の推進や、どの地域でも適切な医療を受けられるようにすること、患者の意向を尊重して治療が選ばれるような医療提供体制の整備でした。今回、患者が安心して暮らせる社会の構築を目指すことが明記されました。法律に基づき計画を作り、対策を実行しやすくなりました。

  天野  新しい治療法を開発してほしいという患者の願いはずっと変わりません。治療が難しい難治性のがんや患者が少ない希少がんについて研究や対策を進めてほしいと強く望んでいます。

  丹藤  希少がんは、専門の医師や医療機関が少ないという課題があります。施設の情報や診療実績を公表し、患者が専門の医療機関へアクセスしやすくする仕組み作りを検討しています。研究の推進も大切だと考えています。

  天野  改正法で盛り込まれた、患者が就労で不利益を被らないようにするなどの配慮が、しっかり行われるように願っています。

  丹藤  厚生労働省は昨年、患者が治療と仕事を両立できるようにするための事業所向けの指針を公表しました。指針では、事業所が産業医や患者の意見を聞いたうえで両立の支援をする方法などをまとめました。改正法は患者が働き続けられるような配慮を事業所に求めており、患者を支援する取り組みが進むと期待しています。

  町永  企業が患者に「静養を第一に」という言い方で、暗に退職を迫る事例があります。

  天野  患者が自分から仕事を辞めてしまう場合もあります。例えば、企業が短時間勤務を認めるなどの配慮をすることで、抗がん剤の治療で体力が落ちている患者も働き続けやすくなります。ただ企業側も患者のためにできることが何か分からない部分もあります。

  坂本  千葉県の事業所に、従業員ががんなどの病気になった際の対応を聞いたところ、医療機関に相談したところはわずかでした。企業がどこに相談していいのか分からなかったためで、医療機関も企業からの相談を受けられることを発信する必要性を感じました。

痛みからうつに

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坂本はと恵さん

  町永  がんになると様々な痛みに襲われます。

  坂本  体の痛みのほか精神的な苦痛も起きます。不眠やいらだちが続くと、うつ状態になります。自分の行いが悪かったためにがんになったと、自責の念にとらわれることもあります。ある患者は近所付き合いが極端に減り、「体は生きているが、社会で生きていると感じられない」と泣いていました。

  天野  私は17年前に告知された時、「人生がどうなるのか」「家族に心配をかけたくない」など色々な思いがわっと押し寄せてきました。

  坂本  がんの拠点病院などには、患者からの相談窓口として相談支援センターがあります。がんに関係して困ったことがあれば、まず声をかけてほしいです。患者の応援隊の集約地点として、地域の専門職、患者会など適切な場所につなぐ手伝いをしています。

患者同士の交流

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フォーラムの壇上の様子

  西口  治療を始め、抗がん剤の副作用で毛が抜けた状態になり子供の入学式にどんな服装で行くかという悩みや、収入が減るという不安がありました。自分と同じ立場の子供を持つ患者と話をしたかったのですが、出会えずに孤独を感じました。そこで子供を持つがん患者が気軽に連絡を取り合えるウェブサイトを設けました。掲示板への意見の書き込みもできます。

  坂本  ウェブ上に出会いの場ができ、可能性や選択肢が広がったのではないでしょうか。

  西口  会員同士が顔を合わせる交流会も開きました。近い立場の人が相手だからこそ言える話もあります。人生を充実させたいと思っている人はたくさんいます。そういう考え方を自分で言ったり仲間から聞いたりすると、「また明日頑張ろう」と思えるようになります。

  小澤  楽しいことを考えながら治療に臨もうというところに感動しました。

  西口  経過が悪いとされる胆管がんになりましたが、治療の成果と合わせ、前向きに物事を考えるおかげで告知から2年たっても元気でいられると思っています。

正しい知識から

  町永  患者も笑って過ごせる社会はどうすればできるでしょうか。

  坂本  がんについて正しく知ることが第一歩だと思います。知らないことを知るという視点でみんなが考えることが、スタートになります。

  天野  社会全体でがん患者について考えていくと、理解が広がり、患者が生活を円滑に営めるようになると思います。

  西口  私たちの活動の目的の一つは、若い世代の患者が置かれている状況を伝えていくことです。周りの理解がいい社会を作る一歩になると感じています。

  小澤  大勢の人がいれば色々な形のサポートができます。それぞれの医療機関や社会で支援の体制を作っていくことが重要です。

子供への伝え方…まず「誰も悪くない」

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  西口  がんの告知を受けたとき、子供が幼稚園の年長組でした。もし入院が長引いて卒園式や小学校の入学式に出られなかったら、子供がどういう思いをするだろうかと心配しました。

  町永  がんになったら子供に何を伝えるのがいいのでしょうか。

  坂本  まず伝えたいのは、がんになったのは誰のせいでもないという点です。子供は親の病気について「自分が悪い子だったからなったのか」と考えがちだからです。

 また漠然とした不安が広がらないよう、がんという病名を伝えましょう。どこが患部かを具体的に伝えれば、親子のスキンシップを維持できることがあります。感染しないという点も重要です。同じものを一緒に食べても問題ないと伝えましょう。

  天野  中学校や高校でがん経験者の立場で生徒に経験を話す機会があります。話を聴き、父母や祖父母のがんについて分かった、と話す子供はたくさんいます。がん教育も重要だと思います。

  丹藤  文部科学省が、学校でがんについて教える取り組みを始めています。

  西口  私は、闘病を通じて子供に生きざまを見てもらいたいと考えています。入院中、子供はよく来院するので等身大を見せられていると思います。

  小澤  子供が親のがんについて理解をすれば、応援してくれるようになります。小さい子供から大きな力をもらえると思います。

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