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フォーラム「がんと生きる」

イベント・フォーラム

患者支援 チーム医療…職場 家族 社会が力に(1)西洋医学+漢方医学の英知

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 「こころとからだ 私らしく」をテーマにしたフォーラム「がんと生きる」が1月21日、千葉県習志野市の習志野文化ホールで開かれ、約730人が参加した。がんは、患者への負担が少ない手術法やがん細胞に狙いを定めて攻撃する薬など新しい治療法も登場し、治る人も増えた。しかしその一方で仕事と治療の両立、家族関係、社会的な孤立などにどう対処するかが新たな課題になっている。患者、医師、病院の相談部門の責任者、医療政策を担う行政担当者らが話し合った。

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コーディネーター 町永俊雄(まちなが・としお)さん 福祉ジャーナリスト

 1971年にNHK入局。福祉番組のキャスターを経て、2011年から現職。 

主催 読売新聞社、NHK厚生文化事業団、NHKエンタープライズ

後援 NHK千葉放送局、厚生労働省、千葉県、習志野市、千葉県社会福祉協議会、習志野市社会福祉協議会、千葉県医師会、同県歯科医師会、同県薬剤師会、同県看護協会、同県がん診療連携協議会

特別協賛 ツムラ  協賛 アデランス

国際医療福祉大学副理事長・名誉学長 北島政樹(きたじま・まさき)さん

 慶応義塾大医学部卒。同大病院長、同大医学部長、第100回日本外科学会長、第42回万国外科学会長、日本癌(がん)治療学会理事長、国際医療福祉大学学長などを歴任。2016年から現職。

国立がん研究センター東病院副サポーティブケアセンター長 坂本はと恵(さかもと・はとえ)さん

 日本福祉大大学院修士課程修了。認定医療社会福祉士。精神科領域を経て、2004年から国立がん研究センター東病院で相談部門の設立に携わる。16年から現職。

厚生労働省健康局がん対策推進官 丹藤昌治(たんとう・まさはる)さん

 京都大工学部卒、広島大医学部卒。東京医科歯科大病院、土浦協同病院を経て、2006年に入省。臓器移植、被爆者対策、科学技術振興、診療報酬改定などを担当。16年から現職。

東海大学医学部消化器外科教授 小澤壯治(おざわ・そうじ)さん

 慶応義塾大医学部卒。同大外科講師、藤田保健衛生大教授などを歴任し、2009年から東海大教授。専門は消化器疾患、内視鏡下手術、外科腫瘍学。チーム医療に力を注ぐ。

全国がん患者団体連合会理事長 天野慎介(あまの・しんすけ)さん

 慶応義塾大商学部卒。2000年に悪性リンパ腫を発症、抗がん剤や放射線の治療を受け2度の再発を経験。悪性リンパ腫の患者らで作るグループ・ネクサス・ジャパン理事長に就任。15年から現職。

キャンサーペアレンツ代表 西口洋平(にしぐち・ようへい)さん

 神戸商科大(現兵庫県立大)商経学部卒。妻、長女の3人家族。2015年に胆管がんの告知を受け、子供を持つがん患者がつながれるウェブサービスのキャンサーペアレンツを16年に設立した。

西洋医学+漢方医学の英知

基調講演…国際医療福祉大学副理事長・名誉学長、北島政樹さん

北島政樹さん

北島政樹さん

 「伝統を学ぶことから革新が生まれる」との理念で様々な活動に取り組んできました。

 その原点になったのが福沢諭吉の「未来のための今」という言葉です。2000年の第100回外科学会で会長を務めた際にはメインテーマに掲げました。

 福沢のほかにも忘れがたい先人たちがいます。 華岡青洲(はなおかせいしゅう) は、外科医でありながら漢方を学び、通仙散を用いて世界で初めて全身麻酔による乳がんの手術を行いました。

 北里柴三郎は、今の漢方医学につながるものを実学的に考えていました。

 武見太郎氏は、戦後長く日本医師会長を務めましたが、「日本は医薬品の7割を輸入に頼っている。逆に輸出できる医薬品を出すべき」だとの問題意識を抱いていました。それが現在の漢方医学につながりました。

 こうした積み重ねの上で私は、漢方医学の効能の科学的エビデンス(根拠)を収集し、国際化と教育の拡充に取り組んできました。

 大建中湯(だいけんちゅうとう)は大腸がん手術後の腸管運動促進のために処方される漢方薬です。慶応義塾大学の外科学教授の時代に、大腸がんで手術した患者を、大建中湯を投与したグループ、投与しなかったグループに分けて比較試験を行いました。

 すると開腹手術でも 腹腔鏡(ふくくうきょう) 手術でも、投与したグループの在院日数が短いことがわかったのです。これは医療費削減につながります。

 大建中湯の研究では、慶応、ハーバード、香港の3大学の共同で、米国立衛生研究所から研究資金を獲得しました。

 がん治療における漢方の効能としてはほかに、化学療法、放射線療法に漢方を加えると、消化器の機能を高め、免疫力を上げます。こうした西洋医学と東洋医学の融合が治療効果を増幅し、患者の生活の質を改善するということが明らかになってきました。

 昨年夏には、がん領域などへの漢方薬の活用の促進とエビデンスの更なる収集を目指し、医学界の各トップが集まった研究会も発足しました。

 現代の医療では1人の患者に様々な医療職が一緒になって対応するチーム医療が大切です。私が名誉学長を務める国際医療福祉大学では1年生から、薬学、放射線、理学療法などの各学生がチーム医療を学んでいます。4月に医学部が新設されます。さらに医学生もこれに加わり、今後の医学教育の一つのモデルになると考えています。

 21世紀の最先端治療に東洋医学の英知を加え、それを日本の医療として発信していきたいと考えています。

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