健やかキッズ
妊娠・育児・性の悩み
早寝早起き 十分な睡眠
3~5歳なら9時頃に就寝
十分な睡眠は幼児の健全な発育に欠かせない。保育園や幼稚園で新年度がスタートするこの時期、親子ともに生活リズムの改善に取り組もう。
「夜9時には寝かせようと心がけているけど、なかなかうまくいかなくて」。東京都目黒区の会社員女性(41)は、保育園に通う長女(4)が遅くまで起きているのが悩みだ。
夫(43)との共働き。仕事が長引いて保育園への迎えや食事の時間が遅れるなどして、週2日は長女の就寝が夜10時以降になる。11時を過ぎるのも半月に1度ある。「夜更かしした翌朝、娘はボーッとしていて不機嫌になる」と嘆く。
ベネッセ教育総合研究所の2015年の調査では、午後10時頃かそれ以降に寝る幼児(1歳半~6歳で就学前)は24%。文部科学省が06年に「早寝早起き朝ごはん」運動を始め、家庭に働きかけた結果、10年前より4・5ポイント減ったが、国際比較では依然、遅く寝る子の割合が多いという。
和洋女子大学教授の鈴木みゆきさん(睡眠学)は、「骨や筋肉を作ったり免疫力を高めたりするのに必要な成長ホルモンや、思春期が来るまで第二次性徴を抑える働きを持つメラトニンは、夜や就寝時に大量に出される。どちらも子どもの成長に欠かせない」と指摘する。
寝不足になれば、こうした物質の分泌や、記憶の整理・定着などに悪影響を与えかねない。「3~5歳児なら午後9時頃には就寝し、できれば10時間ほどは寝てほしい」
睡眠を見直すには、早起きから始めるといい。朝起きたら、まずカーテンを開ける。光を浴びれば脳は覚醒し、体内時計がリセットされる。「人は直立歩行なので、子どもも縦抱きで起こすとしゃんとします」と鈴木さん。
朝食を食べ、日中に元気に動くと、夜に眠りを誘うメラトニンが多く分泌され、早い時間から眠くなる。このサイクルを続けるうちに、早寝早起きが習慣づけられる。
子どもが保育園に通っているなら、昼寝をしている場合も多いだろう。ただ、年齢によっては、昼寝で夜の就寝時間が遅れ、生活リズムを崩す一因となるので注意したい。
多くの保育園では長年、体調管理などの観点から園児を一斉に昼寝させてきたが、鈴木さんは「4~5歳児は体力が付いてくるので、一律の昼寝は必要ない」と話す。
一部の保育園では、見直す動きが広がっている。
東京都足立区では11年、全ての区立保育園で、5歳児に一律で昼寝させる方針を廃止した。「昼寝の要らない子を無理に寝かせるとストレスになる」との理由だ。13年には、一律の昼寝をやめる時期を4歳児の秋に前倒しした。
区立東綾瀬保育園では、4歳児26人のうち、昼寝するのは数人で、ほかの子はその時間、園庭などで自由に遊んでいる。園長の水久保
鈴木さんは「日の出が早くなり、暖かくなっているこの時期は、早起きが苦にならない。年度替わりを機に、生活リズムの見直しに取り組んでほしい」と助言する。
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