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コウノドリ先生 いのちの話

からだコラム

[コウノドリ先生 いのちの話]うさんくさい情報にご注意

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 学生や市民向けの講座で話す時、必ず申し添えていることがあります。「リテラシー」についてです。リテラシーは、情報の虚実を 峻別しゅんべつ する能力という意味で使われています。素直で真面目な人が多いからか、活字媒体や公共の電波が紹介する情報は真実だと思い込んでしまう傾向にあるようで、そうならないよう戒める言葉でもあります。

 産婦人科の関係でも、うさんくさい情報があふれています。妊婦が体を冷やすのは禁物、薬を飲んではいけない、おなかが突き出ていたら男の子、オーガニックなものを食べないと胎児に影響する、など。いずれも根拠が乏しい都市伝説レベルのお話です。くだくだしい解説は別の機会に譲りますが、要はこれらの情報が必ずしも間違いとは言いきれず、情報の受け手のガードが下がり、だまされやすくなっているのです。

 例えば体温が下がりすぎてはいけませんし、妊娠中に服用しない方がよい薬剤はあります。でも、体温の上がりすぎもよくなく、服用すべき薬があるのも当然のことです。赤ちゃんが男の子なら女の子に比べて平均出生時体重が少し重いのでおなかが出てみえる、との意見もありますが、100グラム違ったからといって目に見えるおなかの大きさの違いにはつながりません。

 胎児期に特定の物質にさらされると生じるリスクはいくつかの報告があり、症例が蓄積されていない部分もあります。でも冷静に考えて、全てオーガニックの江戸時代と現代とで、どちらの周産期死亡率や乳幼児死亡率が高いかを見れば、明らかではないでしょうか。

 不安に思った時は、まず担当医に相談してください。ただし、その医師がうさんくさい情報を信じている恐れも少なからずあるので、お気を付けて。

 (りんくう総合医療センター産婦人科部長 荻田和秀)

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