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認知症…手の動作テストで早期発見、「歌詞の間違い探し」で予防も
チューリップテストとハトテスト
アルツハイマーなどに限れば、記憶の他に脳の頭頂葉という部分の機能も悪くなりがちです。その疑いがある場合は、私がよく行うテストを試してみてください。
一つはチューリップテスト。手を合わせてチューリップのように広げた後、左右の手をそれぞれ逆方向に回して、親指と小指をつけます。これが、ある種の人にとっては難しいのです。

図4 BS日テレ「深層NEWS」より
もう一つは「ハトテスト」です。こちらは両手を前に突き出し、手のひらを自分の方にクルッと向けた後、親指を重ねてハトの形を作ります。こちらも頭頂葉の機能が落ちてくると、円滑には行きません。

図5 BS日テレ「深層NEWS」より
頭頂葉は方向感覚、例えば地図を見てその場所に行くといった機能をつかさどります。こういう簡単なテストで、まずは早期にチェックすることが大切だと思います。
歌詞の間違い探しにチャレンジ
ここで、私が考案した脳のトレーニングを、一度試していただきたいと思います。まず一つ目は、童謡の歌詞を読んでそれを歌いながら、歌詞の中にある2か所の誤りを見つけてください。

図6 脳トレ第1問 (BS日テレ「深層NEWS」より)
さて、分かりましたか? 歌いながら考えるのが重要で、意外に見つけにくいものです。正解は、一つ目が「くまもとさ」が「くもまとさ」に。二つ目は「ちょいと」ではなく、「ちいょと」になっている部分が間違いです。

図7 正解はこの2か所 (BS日テレ「深層NEWS」より)
いわゆる読み間違えは、年齢と共に期待感や、自分の持つ知識で答えるようになることで起こります。例えば、「アパマンショップ」という言葉だと、若い人は「アパマン」という言葉を当たり前に知っていますが、年配の人は「ア」から始まる似た言葉として「アンパン」を連想してしまい、「アンパンショップ」と読みがちなのです。
これが難しいのは、歌詞を思い出す、歌う、目の前の歌詞を読んで間違いを探すという、三つのタスクを同時にこなす点です。タスクが三つになると、一気にハードルが高くなるのです。
日常生活で置き換えられるトレーニングとしては、例えば歩きながら「さんずい」の文字を五つ言って、歩きながらその字を宙に書いてみることでしょうか。歩く、思い出す、書くという三つを同時にやると、難しくなります。
年齢と共に神経細胞は衰えますが、これまで使ってこなかった神経細胞に刺激を与えて鍛えれば、休眠状態から復活してくれるのです。
建物の位置関係、地図でわかる?
それでは次の問題です。まず画像の左側の絵をご覧ください。

図8 脳トレ第2問 (BS日テレ「深層NEWS」より)
東京タワー、東京ドーム、そして東京スカイツリーが見えています。この三つの建物がこのような位置関係に見える場所は、右の地図にあるAからFまでのうち、どの地点でしょうか?
これは実際にその場に立たないで、頭の中に浮かべた地図で、現在の自分の位置を推定する能力が必要です。かなり難しい問題で、地図の中に立った時にどう見えるだろうかと、頭の中で想像する必要があります。

図9 脳トレ第2問、正解は… (BS日テレ「深層NEWS」より)
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