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松永正訓の小児医療~常識のウソ

コラム

モーチョーは簡単な病気?

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 私が初めて見た虫垂炎の患者さんは、病気がこじれにこじれて収拾がつかなくなり、私が研修をしていた大学病院に転送されてきた女の子でした。9歳のその子は、大きな瞳に涙をうっすらと浮かべ、軽く眉根を寄せて顔に影を作っていました。鼻には経鼻胃管と呼ばれる管が挿入されており、緑色の腸液が管の中を通って逆流し、袋の中にたっぷりとたまっていました。  担架からベッドに少女を移し、病衣をはだけると、下腹部には座布…

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松永 正訓(まつなが・ただし)

 1961年、東京都生まれ。1987年、千葉大学医学部を卒業し、小児外科医となる。日本小児外科学会・会長特別表彰(1991年)など受賞歴多数。2006年より、「松永クリニック小児科・小児外科」院長。

 『運命の子 トリソミー  短命という定めの男の子を授かった家族の物語』にて2013年、第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞。著書に『小児がん外科医 君たちが教えてくれたこと』(中公文庫)、『子どもの危険な病気のサインがわかる本』(講談社)など。

 ブログは http://wallaby-clinic.asablo.jp/blog/

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3件 のコメント

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追記

松永正訓

冒頭に書いた女児に対しては、その後、いろいろな治療を加えました。ちょっと専門的な言葉になりますが、腸閉塞に対しては、密封された部屋に入り、酸素を...

冒頭に書いた女児に対しては、その後、いろいろな治療を加えました。ちょっと専門的な言葉になりますが、腸閉塞に対しては、密封された部屋に入り、酸素を吸入しながら部屋の圧を大気よりも上昇させる高圧酸素療法を行いました。遺残膿瘍に対しては、黒ゴムドレーンに中に長く細いチューブを挿入し、そのチューブを通して生理食塩水をお腹の中に出し入れして洗浄をくり返しました。皮下膿瘍で開いてしまった傷は、消毒をくり返し、きれいになった時点で再縫合の手術をしました。時間はかかりましたが、この子は元気に退院していきました。

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医療の相対性と画像診断の進歩の取り扱い

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

診断も治療もレベルは相対的に判断されますし、時代のトレンドの影響も受けます。 超音波の進歩もさることながら、CTやMRIの高速化、高精度化は特に...

診断も治療もレベルは相対的に判断されますし、時代のトレンドの影響も受けます。
超音波の進歩もさることながら、CTやMRIの高速化、高精度化は特に都心部での診断の常識を変えています。
(CTのない時代には絶対に訴えられなかった疾患でも、訴訟になりうるのは医療の進歩が諸刃の刃であることを示しています。)

勿論、機械だけでは医療は行えないので、診断格差やCTの低被爆化の格差をどうやってある程度の幅に収めていくのかは地方における医療と政治の大きなテーマになってくると思います。
機械は同一でも、稼働率やコスト構造などが同じではないので、それは医療の世界だけでコントロールできません。

さて、小児における頻度などの問題で、急性虫垂炎がテーマなのでしょうが、急性腹症というカテゴリーの中には様々な疾患が存在し、各科医や地域の医療連携でどうやって共同して診断治療するかはなかなか悩ましい問題です。

全ての疾患の診断治療に精通したゴッドハンドや「神の眼」だけで医療は構成されているわけではないことを患者サイドでも理解がなされないと、正当ではない医療裁判が乱立し、医療崩壊の一因になります。
逆に、医師サイドも過剰な期待に対してNOを突きつけてもいいとは思います。

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経験者

雀の親子

記事を読んで50年前の記憶が昨日のことのように甦ってきました。 小学校1年の頃、下腹部の痛みで近くの診療所の診察を受けたところ、虫垂炎の恐れがあ...

記事を読んで50年前の記憶が昨日のことのように甦ってきました。
小学校1年の頃、下腹部の痛みで近くの診療所の診察を受けたところ、虫垂炎の恐れがあるが散らしてみましょうと。しかし痛みは収まらず不幸にも連休に遭遇し、さらに悪化して市民病院にかつぎ込まれた時には「こりゃいかん、すぐに手術を」との判断で手術室へ。しかし既に記事のケースのような状況で腹膜炎を併発して後日再手術を受け、結局退院まで1ヶ月を要しました。腹部の5センチの手術痕がその時の苦痛の証しです。
後遺症として腸の癒着が残り、今でも力むと軽度のイレウスに悩まされます。加えて入院生活のトラウマで、お粥が食べられません。皆様もたかが虫垂炎と侮ることなかれ。

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