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コウノドリ先生 いのちの話

からだコラム

[コウノドリ先生 いのちの話]児童虐待、ホルモンと関連?

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 「20××年、人類は食糧難で危機的状況に陥っていた。地球連邦政府は『過食こそ人類に対する大罪』として、高血糖の人を取り締まる法を施行。弾圧された患者らは一団となって悪法に立ち向かう……」

 とまあ、ハードなSF小説でもない限り、病気の人を弾圧するなんて現実には起こりっこないですよね。

 「オキシトシン」というホルモンがあります。一見、違いが分からない山ネズミと野ネズミ。山ネズミは単独行動、野ネズミは巣穴につがいで住むなど社会行動に違いがあります。研究で、野ネズミの脳にはオキシトシンが多く分泌されていることが分かりました。

 野ネズミにオキシトシンを無効にする薬や遺伝子を導入すると、つがいは解消、子育てもしなくなります。このことからオキシトシンは子育てや社会性を促進するホルモンでは、と考えられるようになりました。

 オキシトシンを全く分泌しないネズミは、世話をしないと絶えてしまいます。親ネズミが社会性を持たず、子を育てないからです。

 こう書けば、はたと膝を打たれた読者の方がいるかもしれません。オキシトシンがヒトの育児行動に関わっているならば、児童虐待もこのホルモンと関係あるのではないかと。残念ながらヒトについては、関連がまだわかっていません。

 ネグレクト(育児放棄)や児童虐待死の事件では、当事者は保護責任者遺棄致死などの罪に問われ、「加害者はとんでもないヤツだ」という批判がインターネット上にあふれます。でも、もしこれが「オキシトシン不応」という病気が原因だったとすれば……。

 病気の人を指弾するのは、あってはならないこと。近い将来、「児童虐待は治療すれば治る」という時代が来るかもしれませんね。

 (りんくう総合医療センター産婦人科部長 荻田和秀)

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karada_117

 
 

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