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第45回医療功労賞

イベント・フォーラム

[第45回医療功労賞]中央表彰10人の横顔(上)

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地域で、世界で、命支える

 へき地医療や救急医療、難病への貢献など、困難な環境の下で長年にわたって献身的に医療活動に励んできた人たちを表彰する「第45回医療功労賞」(主催・読売新聞社、協賛・損保ジャパン日本興亜)の中央表彰受賞者10人が決定した。内訳は、各都道府県で活動が高く評価された人の中から選ばれた国内部門8人、海外部門2人。13日に東京・帝国ホテルで開かれる表彰式を前に、献身的な活動を続けている各受賞者の横顔を紹介する。(敬称略)

 主催 読売新聞社

 後援 厚生労働省

    日本テレビ放送網

 協賛 損保ジャパン日本興亜

国内部門

脳梗塞の回復サポート 秋島光雄 70 理学療法士

[第45回医療功労賞]中央表彰10人の横顔(上)

 30年以上、理学療法士と柔道整復師として地域に貢献してきた。

 北海道共和町からの依頼で故郷に戻り、「共和整骨院」の院長となったのは1982年。町内唯一の整骨院で、骨折や脱臼などの患者の治療にあたる一方で、理学療法士として、リハビリとは何かを一から説明しながら、脳梗塞の後遺症がある患者らの機能回復を指導してきた。

 共和町だけでなく、岩内町、泊村の事業にも協力し、脳梗塞後遺症患者のリハビリを行い、患者の生活を支えてきた。

 地域の関係者に機能訓練や住環境整備の講演を行うなど保健師や介護職員の育成にも尽力している。<北海道共和町>

治療、予防の出前講座 奥雅志 67 医師

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 過疎地域に指定される病院で通算約28年勤務し、住民に寄り添う医療に率先して取り組んできた。

 外科医として全力を尽くすだけでなく、後進の指導にも力を注いできた。2005年に羽幌病院の院長に就任し、訪問・巡回診療を始めるなど、住民の福祉に貢献してきた。午前に外来診療を終えると、医師と看護師らのチームが、地域の集会所やグループホーム、個人宅などを回る。医療に関心を持ってもらうべく地域の集会所などで、治療や予防法などを知ってもらう出前講座も開いてきた。こうした取り組みに前後して羽幌町では「地域医療を守る条例」が制定された。<北海道羽幌町>

山間地の母子保健に力 矢口洋子 71 保健師

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 長野県池田町役場で、保健師として山間へき地の住民の健康と生活を守ってきた。

 母親の影響で看護の道に進んだが、その後、保健師の勉強を勧められ転身。長野市内の学校で学んだ後、同町に保健師として採用された。

 特に母子保健に力を入れ、赤ちゃんがおいしいと感じる母乳を出すための乳房マッサージを家庭訪問で普及させた。また、住民自らが健康を守る自主活動の推進に力を注いだ。町の保健福祉課長や教育長などを歴任。現在も、退職した保健師らが参加する「県在宅看護職信濃の会」の会長として地域の健康づくりに尽力している。<長野県池田町>

子どもの歯、先生と守る 阿部義和 68 歯科医師

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 約40年間にわたり母子や在宅患者の治療、予防に尽力してきた。

 「高校の歴史の先生になりたかった」が、父親の勧めもあり大学は歯学部に進学。開業後の1983年、地元小中学校の教諭と歯科医師がともに 口腔こうくう 保健について学び、啓発を行うための「恵那学校歯科保健研究会」を発足させ、これまでに2校が歯の優良校全国1位に選ばれている。

 恵那歯科医師会会長を務めていた97年からは、歯科医院の休診日に交代で救急患者に対応する仕組みを構築した。今も「かかりつけ歯科医の浸透と、医療機関側が自宅に出向く訪問診療に力を入れたい」との思いを胸に、精力的に活動している。<岐阜県恵那市>

自費で発達障害児施設 大森和広 65 医師

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 北海道や京都の病院で勤務後、故郷の但馬地域で長年、精神医療一筋に先駆者的な役割を担ってきた。

 1993年に但馬地域初の精神科診療所を兵庫県朝来市に開業、「つながる医療、つながる暮らし」をモットーに、患者を隔離するのではなく、社会の一員として生活できるよう支えてきた。今も700人近い通院患者がおり、住民に頼りにされている。子どもの精神医療にも精通し、私財を投じて発達障害児療育施設を設けた。その役割は公的施設に引き継がれ、現在は併設された診療所で週1回診療にあたる。早期療育開始の大切さを訴え、今も広い範囲で活動している。<兵庫県朝来市>

  <中央選考委員> (敬称略)

永井良三(自治医科大学長)

新村和哉(国立保健医療科学院長)

五十嵐隆(国立成育医療研究センター理事長)

尾身茂(地域医療機能推進機構理事長)

朝戸裕(国立療養所多磨全生園長)

小山眞理子(日本赤十字広島看護大学長)

二川一男(厚生労働事務次官)

神田裕二(厚生労働省医政局長)

福島靖正(厚生労働省健康局長)

大久保好男(日本テレビ放送網社長)

奥村幹夫(SOMPOホールディングス取締役)

山口寿一(読売新聞グループ本社社長)

石井一夫(読売新聞東京本社事業局長)

 (2017年3月10日 読売新聞朝刊掲載)

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