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孤立した少女を支援する仁藤夢乃さんインタビュー(3)きれい事でない、あなた自身を助ける性教育を

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孤立した少女を支援する仁藤夢乃さんインタビュー(3)きれい事でない、あなた自身を助ける性教育を

仁藤夢乃さん

 ――支援のあり方についてですが、最近流行の「命の大切さ」や「親への感謝」を強調するアプローチは、 (つら) い家庭環境で育った子供には逆効果だと訴えられていますね。( 仁藤さんのブログ

 「こういう子供に対して上辺だけの付き合いをしようと思っても、絶対に届きません。性の問題についても上辺ばかり教えたら逆効果だと思います。私が10代の頃に、母親がうつになって、私も無理やりカウンセリングに連れて行かれた時の経験が忘れられません。先生と2人で部屋にいて、『あー、死にてー』と、その頃口癖になっていた言葉をつぶやいたら、先生にいきなりスイッチが入って説教し始めたんです。『そんなこと言っちゃだめよ。人間が何億人もいる中であなたのお父さんとお母さんが出会って、たくさんの精子の中からお母さんの卵子と結びついて、あなたは奇跡的な確率で生まれたのよ。しかもあなたは五体満足で障害もなくて、世界には貧しい子供たちもたくさんいるのに恵まれているじゃない。生きたくても生きられない人がいる中で、あなたは幸せなのよ』と。それを聞いて、本当に死にたくなって、無言で部屋を出て行きました」

 ――なぜそのような前向きトークは、辛い思いをしている子を傷つけるのでしょう?

 「『誕生学』の命の授業もそうですが、『死にたいなんて言っちゃダメ。考えちゃダメ』とか『親を恨んだり、親を嫌だと思ったりすることは悪』というのが前提にある言葉ばかりです。でもそれを封じられたら、自分の本当の気持ちを否定することになる。そういうことを家庭の中で関係性が築けていて自分たちが勝手にやっているだけならいいのですが、学校教育とか少年院とか児童養護施設とか、親との関係性が絶対的に安心できる関係でない状況にある子供もいる公的な場で、授業として取り入れるのは問題だと思っています。いろんな家族の関係性やあり方があるはずなのに、そういうことを全く無視して行う暴力だと思います」

 「私は今でも親と会ったらすごく疲れるし、ストレスですし、心が荒れてしまう。ささいなことでも少しの時間話しただけで、自分を否定されているように感じたり、理解してくれていないと思ったりして、すごく傷つくんです。私でさえいまだにそういうことで苦しんでいるのに、もっと若い子供たちに、『誰しもが愛されて生まれてきた』なんてきれい事を言うなんて、本気か?と思います。だって子供の頃から、『お前さえいなければ良かったのに』と言われて育ってきた子はたくさんいるし、包丁を突きつけられて殺されかけた子だっています」

 「私はいつも講演で、『自分を大切に』という言葉に追い詰められる子がたくさんいるということを伝えています。私も女の子に対して、いつも自分を大切にしてほしいと思うし、支援者もつい言いたくなる言葉だと思います。しかし、そもそも小さい頃から『あなたは大切な存在だよ』と感じられるコミュニケーションがなく、ずっと『出ていけ』『誰の金で飯を食っているんだ』『うるさい』『黙れ』と言われ続けて、いきなり『自分を大事にしなさい』と言われても、『なんで?』って思うんですよ。『大事にする方法がわからない』とか、『どうしたら自分を大事にできるのかな』って泣く子もいます。そして、『大事にできない自分が悪い』と思ってしまう。追い詰めてしまうんです」

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5件 のコメント

うなります

1人の女

メディアなどで拝見するたび、可愛らしいお嬢さんですがしっかりしているなと思っていました。(可愛らしくてもしっかりしていて良いのですが、良いギャッ...

メディアなどで拝見するたび、可愛らしいお嬢さんですがしっかりしているなと思っていました。(可愛らしくてもしっかりしていて良いのですが、良いギャップということで)
今回の記事もとてもよかったです。
私自身、機能不全家庭に育った娘として、女児の母として共感出来るところが多々ありました。
売春などしていなくても、自分の希望が言えない、自分を大事にすることがまずわからないという気持ちは非常に理解できます。
大事にしてくれる夫と結婚し、自分に娘が生まれ、ようやく自分を大事にすることができ始めました。大事にされた実感や実績を積み重ねないと理解できないんです。
娘を育てながら、自分にやってもらいたかったことをすることで自分も癒しています。30代半ばのおばさんがようやくこんな状態なのですから、今苦しんでいる子供達は毎日生きるのがどれだけ必死でしょうか。体の傷以外に心の傷も見えたら良いのにと思います。加害者側も傷がありそうに思います。それが自分より弱者から搾取する理由にはなりませんが。

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夢を描けないに男の子女の子なし

ナッシ

私が、父とよそおじさん、母とよそのおばさんの違いを言葉の意味として理解したのは、小学校5年生でした。生きていく辛さなか何度死のうとしたか、生きて...

私が、父とよそおじさん、母とよそのおばさんの違いを言葉の意味として理解したのは、小学校5年生でした。生きていく辛さなか何度死のうとしたか、生きていく為に死ぬこと考えたか。幸いにもいろんな人との巡り合わせのなか、どんなに死のうとしてもお腹はすく。じぶんの体、魂は、生きたがっている事を理解しました。今現在色んな事がありましたが、人並みの有り難さ、難しさをしみじみ感じています。子供たちは自分の与えられた環境を生きていくしかありません。子供達普通に人並みに生きていける事を願います。

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いまだに「寝た子はおこすな」

kaz

 いまだに「寝た子はおこすな」的な教育が行われているのですね。40年前から何も変わっていないことに失望します。  性教育がまともにできない社会は...

 いまだに「寝た子はおこすな」的な教育が行われているのですね。40年前から何も変わっていないことに失望します。
 性教育がまともにできない社会は、男女平等の社会では無いと、なぜきづかないのだろうと思います。
 性教育がまともに行えないから、仁藤さんのような方にお願いするのに、そこに枷をつけてどうするのでしょう。教師達は、何も理解していない。仁藤さんに丸投げしたことで、満足しているのでしょうね。

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