文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

性とパートナーシップ

妊娠・育児・性の悩み

孤立した少女を支援する仁藤夢乃さんインタビュー(2)一般社会にも染み込んでいる暴力的な性関係

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 ――嫌がるのですか?

 「その子の人生ですごく大事な選択について、『どうしたいの?』と聞いても、『夢乃ちゃんはどうしてほしい?』と聞き返されることもあります。『私の意見じゃなくて、あなたの気持ちが尊重されるようになってほしいなと願っているよ』と言うと、『どうしたらいいんだろう?』と困り顔になります。これまで何かやってみたいなと思うことがあっても、気持ちを抑えることによって身を守ってきた子たちです。親の言いなりにならないと殴られたり、『どうせお前にできるわけないだろう』と言われたり、やらせてやると言われたことをやらせてもらえなかったり、やりたくないことをやらされたり。何かやりたいと思ってしまうと、後で後悔するという経験を重ねてきているんです」

 ――希望を持たないのは自己防衛なんですね。

 「そうです。だから私たちはささいなことでも、自分で選んでもらうことを大切にしています。寄付してもらったプレゼントがあった時、ピンクと青があって『どれがいい?』と聞いても、出会ったばかりの子はだいたい最初は希望を言わない。私が強引に選ばせないと選べない。それがだんだん関係性を築いていくと、『うちピンクがいい』と言えるようになる。『何飲む?』『何食べたい?』と聞いても答えなかった子が、『お茶がいい』とか、『生理用品がないからもらっていっていい?』と積極的に自分の希望を言えるようになる。自分の意思を持つには、そういう経験の積み重ねが必要です。でも、そこでの選択は、私たちとその子が関係を築いたからできるのであって、同年代の彼氏との関係性になったら、男の子も支配的になるし、難しいです」

 ――その子たちはどういう両親の関係を見て育っているのでしょうか?

 「親同士の関係性が悪い子がほとんどです。父親からの暴力や支配的な関係性が母親に向けられ、母親が自分の意思を殺しているのを見て育っている子どもは多くいます。貧困や虐待がある家庭で、両親のセックスを見ている子もいます。そういう両親の姿を見て、お兄ちゃんが妹にまねする形で性虐待をやってしまうケースもあります。母子家庭で母親が男をとっかえひっかえして、すぐに子供ができて、その子のお守りをさせられるとか、父子家庭でも父親が女の人と遊んだりしているのを日常的に見ていたりとか。そういうことを見て育って、自分も汚れていると思っている子がいるし、自分もあの親の血を引いているから、ああなったらどうしようと不安に思っています」

 ――そういう環境で (つら) い思いをして育ってきたけれど、いつの間にか、自分も同じような道を歩んでしまう。

 「昔、渋谷で集まっていた男の子たちの中には、違法の風俗店に少女を取り込むスカウトになったり、大人になってJKビジネスに加担して捕まった子もいるんです。彼らも両親から暴力を受けて育ってきて辛い思いをしてきた被害者なのに、そこで適切なケアを受けられなかったため、今度は加害者側になる。特に中卒だと仕事もないし、今関わっている女の子たちもほとんどが売春とか夜の仕事の経験者です。手っ取り早く売れるものとして性を商品にされてきました。そして、男の子たちも加害者になっているとはいえ、下っ端の、捕まるリスクも高いところに置かれています」

 ――福祉の手は届かないのでしょうか?

 「困っている人の一番の困りごとは、『助けて』と言えないことです。自分が何に困っているのかもわからないし、誰に頼ったらいいのかわからないし、自分なんかが相談したら迷惑じゃないかなとか思う。そもそも大人への不信感も強いので、相談したいと思えない。行くところがなくて、街をさまよって、売春したなんて言ったら、非行少女として責められちゃうかもしれないし、哀れまれてしまうかもしれない。しかも、基本的には、公的機関や相談窓口は待ちの姿勢で、街まで会いに来てくれない。来てくれたら話は聞きますよというスタンスで、彼らの提示する支援の方針にのらないなら怒られるということもよくあります。それに比べて、危険な仕事や性産業に取り込む側は、自分たちから子供に近付いていって、発見し、つながる。しかもそこに同じような環境で育った少年を使う。“仲間”が取り込むので、共感性も高いし、ちょうどいい声かけで、今日泊まるところや食事を提供するので、その手を握ってしまうのです」

 ――その点、仁藤さんは女の子たちのように渋谷をさまよう経験もされているし、「お姉さん」という感じで、街で声をかけられた時に話しやすいのかもしれませんね。

 「コラボでは、女の子たち同士のつながりも大切にしています。いろいろな事情や問題を抱えた子同士が出会って、つながっています。『危ない子同士を引き合わせて大丈夫なの?』と児童福祉関係者や弁護士から言われたこともありますが、そういうことを言う大人、例えば弁護士が女の子に添い寝をして宿泊支援をするよりも、女の子同士で一緒に泊まった方が、絶対にいいことが起こります。私にもまだ言えていない爆弾のような隠しごとも、仲間同士だと打ち明けられて、『それ、夢乃ちゃんに言った方がいいよ』とつないでくれる。私はこういう仲間での支援のあり方にものすごく可能性を感じているんです」

 (続く)

3 / 3

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

性とパートナーシップの一覧を見る

10件 のコメント

性暴力の被害者は女性だけではない

あーさん

仕事から疲れて帰って、いざ寝ようとしたら奥さん、彼女からお誘いがあり断ったらその後、数日は不機嫌、文句言う。 それが原因で不能になったらまた責め...

仕事から疲れて帰って、いざ寝ようとしたら奥さん、彼女からお誘いがあり断ったらその後、数日は不機嫌、文句言う。
それが原因で不能になったらまた責められる。
これも立派な性暴力だと思うのですが。
何にしても性暴力、権利の主張、○性だからって言う暴言が男性から女性に向けられる事ばかりだという認識にモヤモヤします。

お互い棚上げし過ぎなんだと思いますね。

つづきを読む

違反報告

どっちがどうとか言ってない

奥さん

女性が弱者が誰が決めたことか、誰がそれを受け入れて良しとしてるかが問題でしょう。 経済的自立ができなければ、弱者から抜け出すことはなかなか難しい...

女性が弱者が誰が決めたことか、誰がそれを受け入れて良しとしてるかが問題でしょう。
経済的自立ができなければ、弱者から抜け出すことはなかなか難しいですよ。
法律的優位が弱者救済から来ていることを踏まえても、(望まなくても)勝手に弱者になってる=勝手に劣勢に立たされているという構図が問題でしょう。
私は女性であることを謳歌する為に、男性を利用するのではなく、沢山の選択肢の中から自分で選びたいと思って、自分の意思で生きてきました。
もちろん他の人にもそうであって欲しいし、それが望める事が平等だと思いますが、実際そうはいかないでしょう。
その原因の下敷きに、女性の社会的地位の低さがあるんではないかと言っています。

女性の管理職のため、私は夫より収入があります。
もし離婚となった時、娘の親権は経済的優位で私でしょう。養育費も貰わなくていいとなるでしょうし、財産分与でも私が夫に多く払うのです。
パートナーとうまく行かなくなったら、離婚も可能性として選べるのは、経済力があるからでしょう。
そこだけでも社会的に弱者じゃなくなりますよね。

つづきを読む

違反報告

タイトルなし

秋山高志

奥さんの意見はよく耳にする内容ですが、理屈としては少し乱暴ではないですか。家庭内の問題と、社会的地位は不可分の問題でしょうか。極端な例で言えばD...

奥さんの意見はよく耳にする内容ですが、理屈としては少し乱暴ではないですか。家庭内の問題と、社会的地位は不可分の問題でしょうか。極端な例で言えばDVの問題は家庭内の問題ですか?「嫌なら離婚すれば?」と外の人間が言っても、子供がいたり、就職の問題があったりと、社会的問題と深く関わっていると思いますが如何でしょう。
次に「女性の社会的地位が低いのは事実。だから法的優位がある。」というのはどう捉えたらいいのでしょう。確かに男性の痴漢冤罪問題の裏には大勢の女性被害者がいて、離婚時に男性が親権を取れないのも男性側に養育力の問題があるからですが、これで「バランスが取れている」と言いたいのでしょうか。(もちろんそんな事を言いたい訳ではないと思いますが、話の道筋として。)大切なことは痴漢被害自体を減らす事と、逮捕された人が男性であれ女性であれ、公平な裁判が行われる事を同時に目指す事ではありませんか?離婚時に、どちらが親権を取っても、無事に育て上げられるような社会を作ることではありませんか。
(この例は私が示しただけで、奥さんのコメントではありませんが)
なぜ、最初の一歩が「痴漢をするのはほぼ例外なく男性」とか、「男性が親権を取っても養育できるはずない」とか、男性側を攻撃するところからスタートするのでしょうか。
「男は風俗に行くし、女を下に見てる」何てことを、どうして平気で言えるのでしょう。(私の会社には大勢の社員がいますが、風俗に行った話を公衆の場でする人間は見たことがありません)「女性なのに管理職になりたいの?」等の心無い言葉をぶつけられて傷ついてきたのに、同じ事をしていませんか?

つづきを読む

違反報告

いいえ、違います

奥さん

まったく攻撃してませんが? 女性が男性に物を言えば、やたら攻撃されたと思う捉え方が理解できません。 女性専用車両にクレーム入れるのは男性なんです...

まったく攻撃してませんが?
女性が男性に物を言えば、やたら攻撃されたと思う捉え方が理解できません。

女性専用車両にクレーム入れるのは男性なんですよ。
女性が優遇されてるって。
痴漢の冤罪防止っていう目的と、双方の利点どっか行っちゃうんですよね。

あなたと婚約者のお話もそうですが、避妊に協力的じゃない事と実際に避妊しない事は、全然別の問題ですよ。
避妊のリスクを知る者が、(強姦含まず)避妊しない→妊娠→そこから揉めるとは、双方の責任なのに、男性も傷付くのを知られていないって、経産婦からすれば、そのタイミングで今更何をって感じなんですが違います?
これも決めつけですか?
売ってあったから買ったの、JK売春や、風俗があるから行くと根本的に一緒の考えだと思いますが、違いますか?

JKビジネスもDVもそうですが、機能不全家族となっていることや貧困問題事態は社会問題ですよ。
ただ貧困じゃなくても、機能不全家族はいっぱいあるし、家族や夫婦でコミュニケーションがとれない、支え合えない人が多いってことでしょう。
支え合うのは個人が自発的にするべきでしょうと言っているんですが、モノの言い方が悪いってことだけクローズアップするのはなぜでしょう??

つづきを読む

違反報告

すべてのコメントを読む

最新記事