文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

安心の設計

介護・シニア

要介護でも自分らしい生活 看護、理美容…保険外サービス広がる

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
要介護でも自分らしい生活 看護、理美容…保険外サービス広がる

病院を訪問し、洗面台の前で入院患者の髪を切る「若蛙」の藤田代表(東京都世田谷区の有隣病院で)=池谷美帆撮影

id=20170310-027-OYTEI50004,rev=3,headline=false,link=true,float=left,lineFeed=true

 要介護状態や病気になっても、自分らしく暮らしたい――。そうしたニーズに応えるため、介護保険対象外のサービスが広がっている。企業やNPOなどが提供し、家事代行、配食、見守りなど種類も多い。料金は全額自己負担だが、利用する側の要望に柔軟に応じてくれるのが特徴だ。政府も普及を後押ししている。

  ■1日14時間利用

 首都圏に住む女性(53)は今年1月、夫(60)を 看取みと った。昨年7月から亡くなるまでの約半年間利用したのが、24時間体制で訪問看護を行う「スーパーナース」(東京都千代田区)だ。

 夫は2015年7月、神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された。その後、要介護度は最も重い「5」まで進行したが、夫の希望に沿って在宅介護を続けることにした。介護保険では、訪問介護を利用したほか、介護用ベッドも借りた。さらに、健康保険を使って約1時間の訪問看護を週2回受けながら、主に女性が介護した。

 しかし、病気の進行は予想以上に速かった。介護保険でも、健康保険でも、利用できる訪問看護は時間や回数が限られ、女性は不安になった。「全額自費でもいいから、もっと長い時間、看護師に来てほしい」とインターネットで調べ、スーパーナースを知った。

 同社の看護師は、たんの吸引、胃に穴をあけて栄養を送り込む「胃ろう」、床ずれができないよう姿勢を変える処置などを行った。多いときは1日約14時間利用し、費用が200万円を超えた月もあった。夫は亡くなる直前に入院したが、「『できる限り家で暮らしたい』という希望はかなえられた」と、女性は高額な負担にも納得している。

 同社には約5万人の看護師が登録しており、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、愛知を中心に、基本料金1時間6000~8000円(税別)で利用者宅を訪問する。末期がん患者、看取り、外出の付き添いなどにも幅広く対応する。

 創業した1993年度の利用は10件だったが、今年度は約80件。木戸岡大輔・プライベート看護部長は、「看護師の付き添いで、歌舞伎鑑賞や娘の結婚式へ行った人もいる。病気になったり、介護が必要になったりしても生活を楽しみたいというニーズは、今後も増えていくはず」とみている。

  ■元気が出る人も

 保険外サービスは、高額なものばかりではない。

 東京都世田谷区の今井洋一さん(73)は1月、入院していた同区内の有隣病院で、髪を切ってもらった。依頼した「出前美容室  若蛙わかがえる 」は同区が本拠地で、東京、神奈川、千葉、埼玉の病院や介護施設、利用者宅に美容師や理容師を派遣している。今井さんは税込み2900円を支払い、「すっきりしました」と笑顔を見せた。

 若蛙は2007年11月開業。現在は約180の施設・病院にサービスを広げ、自宅訪問の常連も約200人に上る。藤田巌代表は「入院したり、要介護になったりしても、身だしなみに気を付けたいという高齢者は多い。散髪やパーマで元気が出る人もいる」と話す。

  ■情報周知が課題

 保険外サービスにはこのほか、介護付き旅行、介護タクシー、高齢者向けフィットネスクラブなども含まれる。課題は、種類や内容、料金などの情報があまり知られていないことだ。

 経済産業省や厚生労働省などは昨年3月、「保険外サービス活用ガイドブック」を作り、39の先進事例を紹介した。福岡市は昨年12月、保険外サービス検索サイト「ケアインフォ」を開設し、約40事業者の情報を載せている。同市の担当者は「身近な情報を提供するのが自治体の役目」とし、引き続き事業者を募っている。

 シニアの消費動向に詳しい村田裕之・東北大特任教授は、「自治体の広報紙をよく読む高齢者は多い。保険外サービスについても、自治体が情報提供を支援すれば、普及に役立つだろう」と指摘している。

 (安田武晴)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

安心の設計の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、ヨミウリ・オンライン(YOL)、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事