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ヨミドクターセミナー「ロコモ予防!健康な足腰をつくる運動の効果と方法」

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ロコモ予防! 健康な足腰をつくる運動の効果と方法(3)質疑応答から

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筋力アップに効果的な歩行方法は?

ロコモ予防! 健康な足腰をつくる運動の効果と方法(3)質疑応答から

ロコモを予防するための具体的な運動と方法を解説する石橋・伊奈病院整形外科部長(2月9日、読売新聞東京本社で)=高梨義之撮影

 岩永 ここからは、質疑応答になります。まず、皆さんからいただいた質問の中からピックアップしてお聞きします。

 最初は70歳の男性からです。「筋力をつける効果的な歩行方法はありますか」という質問をいただいています。

 石橋 本編で申し上げたように、基本的に歩行は有酸素運動です。ただ、少し速めに歩くことで筋力アップになります。さらに、時々、もも上げをしながら歩くのも効果的です。太ももを上げる筋肉は腸腰筋といって、腰椎、腰の骨から 大腿骨(だいたいこつ) の上の方についている大きな筋肉です。立っている時にもも上げをしてもいいですし、歩行のときに100歩ぐらい取り入れるのもいい。気をつけていただきたいのは、このときは少し背中を丸めてやること。腰を反った状態でやると、腰に負担がかかり腰痛の原因となります。そのほかに、かかとをつけずに爪先で歩く。これも転ばないように気をつけて行うことが必要ですが、プラスアルファの効果があります。

 岩永 つま先立ちすると、どこの筋肉が鍛えられるのですか。

 石橋  下腿(かたい) 三頭筋というふくらはぎの筋肉です。アキレス (けん) についている筋肉です。

 岩永 では次の質問です。70代の男性から「1日1万歩がよいと言われますが、数日続けると足の負担を感じます。本当に足腰にベストな歩数なのでしょうか」。

 石橋 8000~1万歩ぐらい歩くことを厚生労働省も推奨しています。ただし、それはあくまでも平均的な目標です。筋力は強い人、弱い人がいますし、普段、ほとんど歩いていない人がいきなり1万歩歩くと、膝や筋肉に痛みが出たりします。そのような人は、まず4000~5000歩ぐらいを目標にして、楽に歩けるようになってきたら徐々に増やしていけばいいと思います。最初から無理をすると逆に危ないですね。

 岩永 調子がよかったら徐々に増やせばいいのですね。

 石橋 はい。運動は全てそうです。

人工関節でもできる運動方法は?

 岩永 60代の女性からは「数年前に人工関節になりました。長く維持できる運動を教えてください」とのことです。

 石橋 まず人工関節の説明からしましょう。変形性膝関節症などで、軟骨が減り、O脚が強くなったり、ひざが真っすぐ伸び切らなくなったりした患者さんに対して、薬や注射などで治療をしても、十分な治療効果はなく、痛みが強かったり、曲げ伸ばしの制限が強い場合には人工膝関節の手術が選択されます。

 人工膝関節は、膝の上下で骨を切って、ちょうつがいをつけるといったイメージではなくて、関節表面の傷んだ軟骨と骨を数ミリ~1センチ弱ぐらい切って、表面にかぶせものをする手術です。筋肉や 靭帯(じんたい) は自前のままです。関節面が人工物に変わるので、痛みがかなり軽減します。

 私も毎週のようにこの手術をしています。最近の人工関節は耐久性が上がり、20年や30年はもつようになっています。それまで痛くて動けなかったり、歩きづらかったりした方は筋肉も弱っているので、人工関節の手術後はしっかり鍛えることが大切です。本日お話ししたスクワットは人工関節手術後の方にも効果的なので、患者さんにも勧めています。

 ジャンプしたり、走ったりといった運動は可能ではありますが、耐久性に影響するかもしれません。やはり、ゆっくり荷重がかかるようなウォーキングや速歩、スクワットや片足立ちから始めるのがいいと思います。

医師ごとに異なるリハビリ方法の違いとは?

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 岩永 今度は会場のほうから、ご質問を受けさせていただきたいと思います。

 参加者 私は膝が悪く、過去、整形外科にかかった経験があるのですが、教えていただいたリハビリの運動方法が医師によって違います。ある医師は、「横になった状態でかかとを20センチぐらい上げ、そこに1キロか2キロのウェートをつけて10カウントする」の繰り返しを勧められました。別の医師は、同じ体勢で「かかとを5センチか10センチ上げ、つま先を上げて突っ張り、カウントする」と教えられました。大した違いはないと思いますが、どちらがいいのでしょうか。

 石橋 私も大きな違いはないと思います。いずれも大腿四頭筋を鍛える運動です。かなりの痛みを伴っている人の場合、体重のかかった状態でがんばり過ぎると、かえって膝の痛みが強まる可能性がありますので、こうした非荷重の運動が進められます。横になった状態で、足を10センチ持ち上げるだけでも、足の重さは5~7キロぐらいありますから、ウェートをつけなくても十分に運動になります。

 参加者 ウェートをつけたほうが、やっている実感はありますけれど。

 石橋 もちろん、それで構いません。ウェートをつけてもつけなくても、足先を上向きにしてもしなくても、十分な効果はあると思います。

 岩永 くれぐれも無理なさらないようにお願いします。

着物でもウォーキングはできる?

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会場では正しいウォーキングの方法も紹介された(2月9日、読売新聞東京本社で)=高梨義之撮影

 参加者 ウォーキング方法について伺いたいと思います。よく「手を大きく振って、大股で歩く」と聞きます。私は普段の生活で着物を着ることが多いため、手を振ることはできません。それにどうしても小股になってしまうのです。

 石橋 歩くときに手を振るのは、体のバランスを取るためです。体の上半身の動きに合わせて大きく振ると、バランスよく動けて大股で歩きやすくなります。とはいえ、大切なのは手を振ることではなく、歩幅をしっかり確保することです。

 普段、着物を着ていらっしゃると、だんだん歩幅が小さくなってきます。それに伴って、前後方向の股関節の広がりも少なくなっていきます。やがて関節が硬くなり、大股で歩きたくても可動域が少ないために、前後に広がらなくなります。

 確かに着物を着て大股で歩くのは難しいと思います。とはいえ、関節可動域は広く保っているほうがいいので、少し大股で歩く機会を週何回か設けるべきだと思います。

 参加者 たとえば、外出時には8000歩歩き、家で過ごす場合には可能な限り大股で歩けばいいでしょうか。

 石橋 週2、3回は大股で歩く機会を作っていただければいいと思います。動かさないと関節は固まって可動域が狭くなってしまいますが、1日1回でも前後に広げてやると、かなり保てるようになります。

ジャンプすれば骨密度は上がるのか?

 参加者 以前、接骨医の方がテレビで「ジャンプをすると骨密度を高める」と話していました。また、ウェートリフティングの選手は、バーベルを持ち上げるときに踏ん張るために、骨密度が高いということでした。それを聞いて、毎日100回ジャンプをするようにしているのですが、医学的には効果はあるのでしょうか。

 石橋 先ほどはゆっくり動くことが効果的と申し上げましたが、ジャンプなどに必要な瞬発力も大切と言われています。ジャンプは骨に、いい意味の衝撃がかかりますので有効です。たとえば、閉経前の女性を対象とした研究で、10~15センチぐらいのジャンプを1日50回続けてもらうと骨密度が上がったとの報告もあります。

 同じく「ヒールドロップ(かかと落とし」」と呼ばれる運動もあります。ちょっと背伸びをして、下ろすときに地面にかかとをドンと突くのです。これもジャンプ同様に骨密度の改善に役立つと言われています。ジャンプに比べると、腰やひざへの負担も少ないです。

 今、ジャンプを1日100回やっておられるのであれば、ぜひ続けてください。ただし、今までやっていなかった人が急にやると、膝や腰を痛めることがあります。

 若い人には効果的ですが。高齢の方は慎重に行いつつ、慣れてきたら、じわじわと負荷を上げていくのがいいでしょうね。

ハムストリングスのトレーニング方法は?

 参加者 年をとると、山道や階段を上るとき、足がきつくなってきます。素人考えでは、ハムストリングスが弱っているのではないかと思います。ここを鍛える方法はほとんど聞かないので、教えていただければと思います。

 石橋 太ももの前側の大腿四頭筋に対して、後ろ側の筋肉がハムストリングスです。これは膝を曲げるための複数の筋肉の総称です。坂道や階段の上り下りのとき、膝を伸ばす動作は大腿四頭筋ですが、膝を曲げたり、曲がった状態を維持したり、あるいはゆっくり下りるなどのときにもハムストリングが使われます。

 ここを簡単に鍛えることができるのは、深めのスクワットです。ひざを90度ぐらいまで曲げるスクワットをすると、ハムストリングが緊張しているのがわかります。しゃがんでいるときなど膝の曲がる角度が大きい場合にも、収縮して硬くなっているのがわかります。ただし、膝に痛みがある人はあまり深くやると、痛みが増しますので注意してください。

 岩永 本日はありがとうございました。今日は自分でも反省することばかりです。とりあえず階段を使って帰ります。

 石橋 ぜひ、そうしてください。今日は、ありがとうございました。

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