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ヨミドクターセミナー「ロコモ予防!健康な足腰をつくる運動の効果と方法」

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ロコモ予防! 健康な足腰をつくる運動の効果と方法(2)“ロコトレ”を紹介

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ロコモ予防の運動を覚えよう

 次は、ロコモ予防のための運動についてお話しします。先ほど言いましたように、筋力トレーニング、有酸素運動、ほかにいろいろなスポーツや体操、ジムでのトレーニングなどを続けることは、とてもよいことです。そして、もうひとつ。日本整形外科学会が推奨するロコモ予防の筋力とバランスを強化するためのロコモーショントレーニング、ロコトレを紹介します。

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 まずはスクワット。立ったりしゃがんだりして足の筋肉を総合的に鍛える運動です。スポーツ選手のトレーニングから、高齢者の転倒予防などにまで広く応用されています。

まず、両足を肩幅より少し開いて、爪先を30度ぐらい外向きにします。ここからゆっくりしゃがみますが、このときに膝が爪先より前に出ないようにします。後ろに転んでしまわないように、腰を後ろに引いた前傾姿勢で構いません。両手は前に出しても、下ろしても大丈夫です。

 この姿勢のままゆっくり5秒で下がって、5秒で上がる。これを5回から15回程度続けます。これだけですが、膝が前に出ると 大腿(だいたい) 四頭筋だけを使うことになってしまいます。その結果、お皿の骨( 膝蓋骨(しつがいこつ) )の裏側の関節面に強い圧迫力がかかり、膝を傷めてしまいます。

 歩行が不安定な方など、スクワットが安全にできないような場合は、椅子からゆっくり立ち座りするのでも構いません。椅子から立ち座るときに使う筋肉は、このスクワットと同じところです。リハビリ中の人はよく家の中で手すりにつかまって歩行練習をしていますが、スクワットの方が足の筋肉が直接鍛えられて、転ぶ心配もありません。骨折後の人や病気で退院したばかりの人、それに加齢で足の動きが悪くなった人などには効果があります。

 私は、骨折後などの患者さんにはこのスクワット10回を1セットで、1日2セットか3セットぐらいやってもらうようにしています。これでかなり、足の力が強くなります。

 「スクワットは膝に悪い」と言われたりすることもありますが、それは膝が前に出てしまうスクワットです。膝が前に出ないスクワットは、腰掛ける動作と同じ動きなので安全です。

 次は「片足立ち」です。これはバランスを改善する運動です。実は、かなり筋肉を使いますし、転倒予防の効果があります。

 右足、または左足で立って1分間キープ。転ばないように机や椅子など、すぐに支えられるような物のそばで行ってください。心配な方は何かにつかまってもいいです。机のふちに指1本や手1本を添えると立ちやすくなります。バランスがよくなり、1分間立てるようになれば、転びにくくなるとの研究結果があります。筋力を鍛えると膝が楽になり、同時に足のつけ根の骨も強くなるという報告もあります。

 実際にやってみると、けっこう筋肉を使います。前、後ろ、横側の筋肉などがプルプルする感じがあると思います。歯磨きのとき、右足で立って上の歯、左足で立って下の歯、両方1分間やるとバランスもよくなって歯もきれいになります。

 片足立ちで歩くときのバランスを改善し、立ったり、腰掛けたりの筋力をスクワットで鍛えれば、いつまでも自分の力で立って、歩いて、また座ることができるようになります。つまり、自立した生活が保障される、というわけです。

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 最後にウォーキングのことです。姿勢と速さが大切です。

 歩くときには、姿勢よくスタスタ歩くことが重要です。姿勢は、おなかを引っ込めるように締めて、胸を軽く張るようします。中高年になると背中が丸くなりがちなので、ただ背筋を伸ばすと腰が反って腰痛の原因になります。胸を張ることで背中の丸さが防げます。そして、少し速めのスピードでスタスタと歩く。ゆっくりのんびり歩いても運動効果はほとんどないと言われています。時間は20~30分程度でも大丈夫です。自分の体力に応じて、増減しても構いません。1時間歩ける人は、1時間でも大丈夫です。

 最初は30分スタスタと歩き続けるのは、きついかもしれません。そこで2分速めに歩き、1分ゆっくりにするなど、緩急をつけるのがいいでしょう。ただし、膝が痛い人は無理をしないでください。歩いた翌日に痛みが残るようだと、少し無理をしていることになります。

 繰り返しますが、姿勢は重要です。背中が丸くなってくるとバランスが悪くなって転倒しやすくなります。また丸くなった背中で前を向こうとすると、首が反った形になります。首の筋肉がいつも緊張している状態になりますので、首が張ったり、肩が凝ったりします。その意味でも、おなかを引っ込めるように締めて胸を張るようにすると、負担がかからずに、よい姿勢になり、首や肩も楽になってきます。

無理をしないで継続すること

 最近では活動量計、万歩計などがいろいろ出ています。いわゆる万歩計は、カシャン、カシャンと内部の部品の振動で歩数をカウントします。最近よく使われている活動量計は、加速度を感知して、歩数や歩行速度をカウントしてくれます。

 実はこの講演に際し、協賛のドコモ・ヘルスケアさんから「ムーヴバンド」というリストバンド型活動量計を試用させていただき、ここ2か月くらいつけています。手首につけるタイプなので、どこかに忘れてしまったりすることがありません。以前は、普通の万歩計のような活動量計を使っていたのですが、首から提げたり、ポケットに入れたりというタイプだと、つい忘れてしまっていました。

 活動量計を身に着けていると、その日にどれぐらい歩いたかが消費エネルギーも含めてわかります。私の場合、病院の中では実はあまり歩いていないことが判明したり、と気づきの役に立っています。皆さんも、ご自分で使いやすいと感じる活動量計を探して使ってみて下さい。

 最後に、「運動に関する注意」です。

 運動はゆっくりやるようにした方が、痛みが出にくく、効果も上がります。運動後に痛みが出ても、30分以内に治まるようであれば、続けても問題ありません。

 膝が痛い人が負担をかけないようにと運動を避けていると、どんどん筋力は弱くなってしまいます。歩いていて「膝が痛いな」「いつもよりも痛みが増したな」と感じても、家に戻ってちょっと休んでいたら治ったり、痛みが軽減したりするのであれば大丈夫です。運動を続けて筋力がつくと、膝の痛みが和らいできます。

 痛みが翌日まで持ち越すようなら、少し休んだほうがいいです。その際、3~7日間ほど休んでみて、生活に支障がない程度に軽減したら、元の半分ぐらいの運動量から再開し、徐々に増やしていけばOKです。とにかく無理をしないことが大事です。

 それでも痛みが続くようなら整形外科医に相談してください。

 運動のし過ぎであまり早くに行っても、湿布を渡されて終わりになることが多いので、1週間ぐらい休んでみて、治まらなかったら医師のところに行く。その方が時間の無駄がなくていいと思います。

 一つ一つの運動は、息を止めずに行います。息を止めると、心拍数や血圧が上がってしまいます。最低でも週2回ぐらいは続けてください。毎日続けることがベストですが、もちろん体調が悪い日は休んでください。

 最初に申し上げた通り、今の高齢者は90歳以上まで人生が続きます。今日のように寒い雨の日に、講演を聴きに来てくださるような人は、プラス5歳とか10歳、長生きすることになると思います。

 岩永 100歳ですね。

 石橋 そう、100歳です。100歳まで生きて最後まで自分の足で歩き、「天国への階段」も自分の足で上っていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

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