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レーシックに使われるエキシマレーザーで…角膜手術、飛躍的に進歩

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レーシックに使われるエキシマレーザーで…角膜手術、飛躍的に進歩

 角膜は血管がないから、移植時の免疫反応、つまり拒絶反応が起こりにくい(専門用語では免疫寛容といいます)ので、移植治療には有利な場所だという話を前回しました。

 ではどんな場合に、角膜移植をするのでしょうか。

 何らかの原因で角膜が不可逆的に濁ってしまったり、変形してしまったりしたような場合が考えられます。

 しかし、濁りの原因となる感染症や、化学外傷(アルカリや酸による外傷)では、しばしば周囲から病気を治そうとして血管が入り込んできます。その血管は壁が弱い新生血管です。

 でも、せっかく血管のない移植に有利な環境だったのに、これでは拒絶反応の原因になってしまいます。

 角膜が変形してしまうために、視力の矯正ができなくなる状態の代表は、 円錐(えんすい) 角膜という病気です。文字通り、角膜がだんだん円錐状に (とが) ってくる病気で、遺伝的な因子が絡んでいる場合が多いですが、約10%はアトピー性皮膚炎が原因になるといわれます。

 この病気であれば、血管が侵入してくることはまずないので、変形が強いものは角膜移植のよい適応になります。

 角膜全体を移植するのを、全層角膜移植といいますが、その角膜は日本の眼球銀行などから提供される場合と、輸入角膜を利用する場合があります。

 さすがに、100年の歴史のある角膜移植手術ですから、技術や術後管理が進んで成功率は高くなっていますが、それでも10%前後で拒絶反応が生じます。

 さきほど述べたように、血管が入り込んでいる病巣がある場合は、拒絶反応が起こりやすいので、手術前後に新生血管に対する治療を行うこともあります。

 ところが、血管とは別に、角膜の内皮細胞が減少して、混濁する反応がみられることがあります。「内皮による拒絶反応」などといわれますが、まだそのメカニズムはよくわかっていません。軽い場合は、副腎ステロイドの点眼や内服でしのげるものです。

 角膜移植には、全層角膜移植だけでなく、例えば内皮移植、表層角膜移植など層別に移植する技術も取り入れられています。

 角膜の表層が混濁していたり、変形したりしている場合は、治療的角膜切除(PTK)といって、エキシマレーザーという特殊なレーザー光を使って表層角膜を切除する方法が用いられます。高い精度で必要量の角膜を削り取るだけで、移植はしません。術後はしばらく、ソフトコンタクトレンズを装用するだけです。

 エキシマレーザーは角膜矯正手術(レーシック)などにも使われているもので、眼科における角膜手術を飛躍的に進歩させた新しいテクノロジーといえましょう。(若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

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