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新品種ニラ 収量自慢…栃木県上三川町
ニラのおいしい季節がやってきた。生産量が全国2位の栃木県では、新品種の栽培に取り組んでいる。同県
ビニールハウスに入ると、ニラ独特の香りが漂ってきた。鮮やかな緑色の葉がピンと伸びている。農家の津野田勝弘さん(49)は、約60棟のビニールハウス、計1・5ヘクタールでニラを栽培している。刈り取ったばかりのニラは、断面から水分が滴り落ちるほどみずみずしい。
ニラはユリ科の野菜だ。球根から伸びる葉は刈ってもまた伸び、繰り返し収穫できる。35日~40日たち長さが45センチを超えると収穫する。津野田さんは緑色の濃さも目安にしている。収穫時期は、冬から春にかけてと夏の大きく2回に分けられる。
津野田さんのビニールハウスの屋根は二重構造だ。内側の屋根と外側の屋根の間に、くみ上げた地下水を散布するシャワーが設置されている。夜間、ハウス内の気温が7度以下になるとシャワーを内側の屋根にかけてハウスを暖める。生育に適した温度を保つ工夫だ。
逆に、寒い時期にハウスを暖めないことで「休眠」させる球根もある。生育時期が1か月ほど後ろにずれ、3月頃に収穫できる。「しっかり寝た球根は養分をため込むのでニラの味もよい」と津野田さん。葉も柔らかく、とりわけおいしいという。
栃木県は古くから、ニラの栽培が盛んだ。2015年の収穫量は1万700トンで、高知県に次ぐ2位。今、県では新品種の普及に取り組んでいる。県農業試験場が開発し、「ゆめみどり」と名付けられた。
大きく育ち、葉が厚く幅も広い。品質が安定しており収穫量を増やせる。従来の品種だと同じ球根から1年に3回ほど収穫を繰り返すと葉が細くなってくるが、ゆめみどりは5回ほど収穫が繰り返せるという。津野田さんが栽培しているゆめみどりを見せてもらうと、9回目の収穫を迎えるというものでさえ、根元に近い茎の部分がしっかりと育っていた。
県はゆめみどりの種を農家に配るなどして栽培を奨励しており、収穫量全国1位への切り札になると期待している。
収穫したばかりのゆめみどりを、さっとゆでて食べた。シャキシャキした歯触りが心地良い。ニラ独特の濃いうまみの中に甘みも感じた。後味はさっぱりしていて、いくらでも食べてしまえそうだった。(大石由佳子)
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