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室伏由佳のほっこりスポーツカフェへようこそ

医療・健康・介護のコラム

子供の頃の運動習慣! どんな運動遊びがいいのか?(上)

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 みなさん、こんにちは! 寒い冬が続いていましたが、2月も終わりになりますね。春を迎えるのにもう少し。でも、あまり油断せず……! 暖かい服装で外出をしています。今回のコラムは、運動のことについて少し書いてみたいと思います。

 気が向けば、ジョギングをたまにしていましたが、あまりにも気候が寒いので、少しそんな時間も避けていました。でも、やはり運動してスッキリしたい! そう思って、先日夜ランを45分ほどしてみました。のんびり、ゆっくり。5.5kmほど走って気持ち良い汗をかきました。冷たい空気ではじめは呼吸が苦しく感じましたが、少しずつ慣れていきました。

 思い返せば、風邪予防のためにとマスクを着けていた昨年の冬。この冬はマスクをせず過ごしました。もともと少し気管支が弱い私にとっては、冬の寒さでどうしても喉の風邪をひいてしまいます。マスクはその予防策でした。アスリート時代はとても強度の高い運動(トレーニング)をしていましたので、これもまた体調管理が大変でした。適度な運動、という言葉をよく耳にするかと思いますが、その「適度」を自分なりに実践しました。

 この冬は、日常生活の中で、ちょっと「意識的」になって、筋肉を「動かす」「活動させる」ことを心がけました。そして、食事(栄養)の取り方をいつもより気にしてみました。それが良かったかどうかは断定はできませんが。いずれにしても、運動はとても大切だと、改めて感じました。

「投げる力」が落ち込んでいる?

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写真1

 2月は、小学校で陸上教室を行う機会がありました。キッズアスレティックス という、国際陸上競技連盟が開発したプログラムで、こどもの身体能力の基礎は、「走る」「跳ぶ」「投げる」の三つの要素を基本としています。この、世界共通の運動プログラムを、国際陸連に認定されたコーチが小学校へ赴き、レクチャーを行う活動です。どんなスポーツにおいても基礎となる運動や動作となるので、発育・発達期である小学校低学年ごろから、神経系の発達の終盤期となる12歳ごろまでにさまざまな動作感覚を習得することが良いとされています。こうした理論は、書籍やインターネットなどで大変多くの情報を得ることができると思います。そして、具体的にどんな運動遊びをすると子供たちにとって良いのかという情報もたくさんあります。

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写真2

 小学校に訪問する機会をいただいている中で、「子供たちの投げる力が少し落ち込んでいる」「なんとか投げる力を身につけさせてあげたい」というお話を大変多く伺います。ボール投げは、私は実はとっても苦手です……(笑)。ボール投げは、円盤投げのように横降りのサイドスローだと、なんとかコントロールできるかと思いますが、肩を縦に振る動きはどうも不得意なのです。それでも、少しは練習をして、コントロールして投げられるようになりました。これまでの人生で2度、プロ野球の始球式の経験もいただきました。本当に不得意でしたので、「こんな自分にも、ボール投げができるのか!」と、少し (うれ) しくなった思い出があります(写真1、2)。

運動習慣の中に上手に取り入れて!

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写真3

 現在、子供たちの投げる力が低下していることの要因として、投げる遊びができる環境が少なくなっている、ということも伺います。そうしたことも関係しているかと思いますが、やはり、運動習慣の中に投げる運動をプログラムの一つとして、上手に入れてあげる必要があると感じます。子供たちのレクチャープログラムでは、ヴォーテックスという 投擲(とうてき) 用具(※日本陸上競技連盟では名称を「ジャベリックボール投げ」としている)を用いて、コントロールを重視した的当てなどのゲームをすることがあります(写真3)。ジャベリックボール投げは、現在小学生の陸上競技大会の種目に導入されています。

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写真4

 レクチャーの初めに、「投げるのが苦手なひとは?」と質問します。そうすると、半数ぐらいの子供たちが手を上げる教室もあります。的に向かって、コントロールをして投げる(写真4)。そして、的に当たった点数をカウントして、挑戦する。こうして、とても楽しんで投げる運動を実践。終わりには、皆が「楽しかった!」「もっとやりたい!」。そう言ってくれることが多くあります。限られたスペースや時間であっても、安全性を考慮しながら、工夫をして投げる運動に触れていく機会が子供たちにとても良い影響を与えると感じられました。

 今日はこのあたりで。次回は、どんな運動遊びがあるのか、続きを書きたいと思います。みなさん、それでは、また次回のカフェでお会いしましょう!

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室伏由佳(むろふし・ゆか)

 1977年、静岡県生まれ・愛知県出身。株式会社attainment代表取締役。2004年アテネオリンピック女子ハンマー投げ日本代表。円盤投げ、ハンマー投げ2種目の日本記録保持者(2016年4月現在)。12年9月引退。

 アスリート時代には慢性的な腰痛症などスポーツ障害や婦人科疾患などの疾病と向き合う。06年中京大学体育学研究科博士課程後期満期退学(体育学修士)。スポーツ心理学の分野でスポーツ現場における実践的な介入をテーマに研究。現在、スポーツとアンチ・ドーピング教育についてテーマを広げ、研究活動を継続。現在、上武大学客員教授、朝日大学客員准教授や、聖マリアンナ医科大学スポーツ医学講座、徳島大学医学部、中央大学法学部など、複数の大学において非常勤講師を務める。スポーツと医学のつながり、モチベーション、健康等をテーマに講義や講演活動を行っている。日本陸上競技連盟普及育成部委員、日本アンチ・ドーピング機構アスリート委員、国際陸上競技連盟指導者資格レベルIコーチ資格、JPICA日本ピラティス指導者協会公認指導師。著書に『腰痛完治の最短プロセス~セルフチェックでわかる7つの原因と治し方~』(角川書店/西良浩一・室伏 由佳)。

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