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短命県から学ぶ健康

からだコラム

[短命県から学ぶ健康]社会全体の盛り上がり

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 知識がいくらあっても、なかなか行動に移せない。それが健康づくりの大きな壁だと言われます。その通りです。ただ、それがすべてではありません。

 確かに、知識があっても行動を起こすことは簡単ではありません。でも、最初に知識がなければ、新しい行動は出てこようがありません。

 いくつか例をあげてみます。日本たばこ産業によれば、日本人男性の喫煙率は、1966年の83・7%が急速に低下し、2016年には29・7%まで下がりました。50年間に50ポイントの低下です。なぜこのように低下したのでしょう?

 それは、20世紀半ばにたばこの健康被害が科学的に明らかになり、多くの国民がそれを知ったからです。当然のごとく禁煙運動が盛り上がりました。そして、喫煙率が大きく下がったのです。

 一方、これも20世紀半ば、食塩が血圧を高くし、高血圧が脳卒中を引き起こすことが科学的に明らかになりました。ご 存知ぞんじ の通り血圧は長生きのキーワードです。その結果、減塩キャンペーンが巻き起こり、食塩摂取量が劇的に減少しました。

 これらの成果は、人類の健康を大きく向上させました。

 禁煙や減塩の実行には、困難や苦しみも伴いましたが、得られた成果に比べれば、小さなものです。

 我々はこのような成功体験を現実に持っています。

 以上のことは、科学的証拠と知識がいかに大切かを示しています。

 ただし、ここにもう一つの大切なキーワードが加わります。それは「全体の盛り上がり」です。禁煙キャンペーンや減塩キャンペーンがそれです。

 健康づくりは、個人ではなかなかできません。社会全体で取り組んでこそ目的地にたどり着けます。

 (中路重之・弘前大学教授)

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