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ダブルケアって、どういう状態のこと?
育児と介護 同時に直面
ダブルケアって
どういう
状態のこと?
ケアは「世話をする」という意味だよ。それが、二つ重なるのがダブルケア。一般的に、子育てと親などの介護を同時に担っている状態のことを言うんだ。
子育ては、特に子どもが小さい間は目が離せないから大変だ。認知症や寝たきりなどのお年寄りを介護するのも心身に負担が大きい。毎日の世話や病院の付き添いなど、どちらか一方だけでも忙しい育児と介護が、同じ時期に重なった時の苦労は計り知れない。そんなダブルケアに直面している人を、どう支えるかが大きな課題なんだ。
内閣府の推計によると、ダブルケアを行っている人は、女性16万8000人、男性8万5000人の計25万3000人。全体の8割を30~40歳代が占めていて、平均年齢は男性41・2歳、女性38・9歳という。
ダブルケアが増えてきている背景には、女性が最初の子どもを産む年齢が上がってきていることがある。2015年は平均30・7歳で、40年前よりちょうど5歳上昇。働く女性が増え、結婚や子どもを産むタイミングが以前より後にずれたんだね。それで、子育ての時期が、親の介護の時期と重なりやすくなったんだ。
ソニー生命保険などが15年に行った調査では、ダブルケアを経験したことがある女性の9割近くが、負担を感じたと答えている。とりわけ、精神的、体力的なつらさを挙げた人が多かった。頑張っているのに、忙しすぎて「子育てや介護が十分にできていない」と、自分を責める人が多いこともうかがえるよ。
経済的負担も見過ごせない。両方が重なれば出費もかさむ。それに加え、仕事を続けられなくなったり、育休から復帰できなくなったりして、収入が減ってしまう可能性も高いんだ。
ダブルケアを行っている人を支える行政の取り組みも一部で始まっているよ。横浜市では、そうした家庭のお年寄りが特別養護老人ホームに入りやすくなるよう、入所基準を見直した。堺市は、区役所にダブルケア専用の相談窓口を設けている。こうした取り組みが、どんどん広がってほしいね。
(滝沢康弘)
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